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元カノコンプが消えない。
別に彼氏から元カノの話を進んで話されているわけではない。
元カノコンプが消えない。
別に元カノと比べられているわけではない。
とにかく元カノコンプが消えない!!!!
私は今まで何も知らなくて、男と二人でどこかに出かけるという経験も皆無で、男から可愛いと言われたことも、まして好きと言われたこともなくて、何もかもを彼氏から教えてもらった。
全ての初めての経験は、彼氏とした。
それなのに、彼氏は2年付き合った元カノと一通りの初めてを経験しているのだ。
初めてどこかにデートをしたのだって、初めて手を繋いだのだって、初めて好きと言い合ったのだって、全て全て、彼氏の初めての相手は私ではない。
初めての経験は、全て私の中でキラキラと輝いて存在している。初めて好きな人と結ばれたときは、このまま死んでも構わないとすら思った。
そこまでではなくても、初体験には何かしら特別な感情を抱くのが大抵の人間だ。
彼氏もきっと例外ではない。
だから、私が「初めての○○はいつ?」と酒に酔った勢いで書いたときだって、すんなりと教えてくれたのだ。
ずっとずっと、初めてを教えてくれた元カノは、彼氏の中で残り続けるのだ。
それって、もう私に勝ち目はないのと同義だ。
たとえ、「今の彼女は私」だと慰められようと、そんなの私の傷を癒すには値しない。
元カノの存在を綺麗さっぱり忘れてもらうか、あるいは死ぬしか方法はないのだ。
そんなの無理だ。
だから私は彼氏と付き合っている限りは、一生この傷を背負って行きていかねばならないのだ。
拷問に等しい。
私に元彼がいたらまた違ったのだろうか。
少しはマシだったりするのだろうか。
わたしの顔も存在すらも知らないであろう人間に、どうしてここまで翻弄されなければならないのだろう。
考える方が馬鹿なのは百も承知だけれど、考えないなんて到底無理で、どうしても気にしてしまう。
きっと楽しい思い出なんて2年もあればそこそこにできるだろうから、その場所、似たシチュエーション、匂い、音、あらゆるものが記憶の鍵となり、元カノに想いを馳せるのだろう。
つらい。本当に辛い。ギチギチと首を締めてくる。
どこにも存在していないけれど、はっきりと存在している元カノに、私は殺されそうになっている。
私は自身の重さと面倒っぷりを痛いほどに思い知った。
愚かなことに、自分から元カノの話を聞いてそうして見事に刺された。
初めて手を繋いだのはバイトの帰り。
まだ付き合ってないときで、元カノからしてきてびっくりしたんだって。
ねえ、こんなの特別な思い出に決まってるじゃない。
大学2〜3年の時に初めてできた彼女。
可愛くて、あっちから好きだと言ってきて。
そんなの特別な存在でしかないじゃない。
青春時代を捧げた相手なんて、頭が忘れても魂が、心が死ぬ気で記憶のかけらを離さない。
私が一番知っている。
片思いですらそうなのだ。
一生この傷は癒えないのだ。
どれだけ楽しい時間を過ごしても、どれだけ長くいようとも、きっと死ぬまで苦しむのだ。
わたしが彼を好きでいる限り、生きている限り、元カノにならない限り。
未来より、過去なのだ。
だって、未来は変えられるけど過去は変えられない。
その事実は永遠に残る。
ずるいよなあ、元カノって。
あっちがなんとも思ってなくとも、こうやって他人を苦しめて。
わたしは生きる価値すら疑い始めるというのにさあ。
確かに肯定してくれる存在がいるんだもんなあ。
何が元より今なんだろう。
今なんて変えられる可能性があるというのにね。
元は変わんないんだよ。
ああ、ずるい。