毎日がゴミの日

はきだめ

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なんで私は大学のスタジオが終わってからもこうして細々とブログを書き続けるのか。別に人気ブロガーでもなんでもないし、それで収入が得られてるわけでもない。それでも、こんな自己満ブログをなぜ続けているのか。

 

私は自己顕示欲が本当に高い。自分でもそれは自覚している。だからこんなブログを書いているんだし。

それは大きな理由ではある。でも、これが答えではない。ずば抜けた自己顕示欲があって、自分語りが大好きで、話すのも大好きなんだけれど、人の前でいざ話そうとすると、話したいことの大半を話せず終わる。「私」としての話ではなく、「一般論」に落とし込んで話をする。

 

多分大人になるにつれて、皆そうなんだろう。個人的なエピソードはもちろん話すとしても、やっぱり最後は「皆」の話になる。私が私が、と話しても許される時代は、もうとうに過ぎてしまった。

 

でも、それだと私の高すぎる自己顕示欲は満たされることはない。自分の意見を、思いを、境遇を、どうにかして言葉にしておきたい。誰も聞いてなくてもいい、でも誰かが聞いてるかもしれない、特定の誰かに向けてではない、路上ライブのような形で私はただ自分のことを叫びたい。

その欲をほどよく満たしてくれるのがブログだった。大学時代にこの欲の満たし方を知った私は、そうやすやすと手放すわけにはいかなかったのだ。

見られているかもしれない。でも別に誰にも見られなくてもいい。自己満でいいから、世の中の片隅に吐き出させてほしい。だから私は、この欲が尽きることがない限り、なんの足しにもならないブログを続けていくのだろうと思う。

 

人に自分のことを面と向かって話すのは怖い。拒否されたらどうしよう、間違っていたらどうしよう。あらゆる不安が自分を襲うから。だから私は人と話をするときはいかに面白く話してごまかして、核心を突かれないようにするか、に全力を尽くしている(無意識のうちに)。だって自分の話で不快になってほしくない。時間を使ってもらったのに、つまらないなんて思わないでほしい。

 

 

 

──私を否定しないでほしい。全てはここに集結する。

自分の好きなことについて、自分の幸せについて話すのはより恐ろしい。それを否定された途端、自分を否定されたかのような錯覚を起こすから。故に自分の幸せについては、こういうブログだったりTwitterだったりで吐き出すのがメインで、面と向かって話すのは親がほとんど。友人に話したとしても、やっぱりそのうち怖くなって、話題を変えたくなる。それは昔からの私の癖で、多分今更どうしようもない。皆もそうなのかな。

 

でも、彼女は違った。自分の話が大好きだった。自分の幸せについてどんどん話すタイプだった。私とはまるで正反対、それが私の元親友だった。

 

 

 

 

 

 

彼女とは高校一年生の時同じクラスで、出席番号が前後で。しかもお互い嵐が好きだってことが入学式で発覚して、高校入学後初めてできた友達だった。

最初の印象としては大人しくて真面目な子だった。現に、クラスで過ごしたグループは違ったし、教室内で話すことはほぼなかった。2年からは理系文系別れてしまったから、完全に校内で話すことはなくなった。

当時は、メールだけが私たちの連絡手段。互いに部活も違ったから、休みのタイミングも違って。でも、定期テスト後の部活がない土日のどちらかで、どっちから誘っていたのか2人でカラオケに行った。嵐の歌を歌えるのはお互いしかいないよね、なんて言って一年に2,3回くらい。それが高校3年間の私たちの過ごし方だった。

 

 

高校卒業の春休み、最後かなあといつものカラオケに行ったときだったか、あるいはメールだったかで、双方が別の大学とはいえ関東に行くことがわかり、あっちでも遊べるね!なんていって。

 

大学入学後も、2人で会うことになった。最初は高校時代のようにカラオケに行くくらいだったが、そのうちあちらの家に泊まるようになった。泊まるくらいになると、やはり話す内容も幅広くなるわけで。

最初は趣味の話くらいしかしていなかったのに、そのうちに思い出、自分の半生、恋愛…友人とよくする話をするようになった。互いにしか言ってない話、言えない話ができるようになった。

今思えば、ここがすべての始まりだったのかもしれない。あくまで趣味だけの繋がりだったなら、こんなことになることはなく、それなりの仲で続いていたかもしれないのに。

 

 

そんな感じで色々と話すようになるにつれて、少しずつ違和感を抱くようになった。というより、彼女を知って、彼女が私を知って、歳をとるにつれて「女」の部分がお互いに目覚めてきて、最初は一致していたかのような2人の性格の歯車に、歪みが生じてきていたのだろう。

 

でも私はそれを見て見ぬ振りをした。初めてできた親友のような彼女に限って、そんなこと有り得るはずがない。何より、親友を失いたくない。だからこれはきっと見間違いだ、私の考えすぎだ。そう言って、私は何もしなかった。

 

そのうち、彼女が私と匹敵するくらいのプライドの持ち主ということを知り、またかなりの自信家ということも分かるようになった。最初の頃は知らなかった彼女の一面。仲良くなったからこそ知ってしまった一面。それくらいで別にどうってことはなかったが、いよいよ私に危害が及ぶようになった。

私の一挙一動を上位互換して話してくることが目立つようになった。例えば○○したら面白いって言われて嬉しかった、とTwitterなんかでいうと、彼女もそのすぐ後に、**したらおかしい人扱いされた、と呟くといった具合(例えが素人の卓球並みに下手)。

最初は私の考えすぎだと思った、思いたかった。でも偶然とはいえないくらいの頻度でされて、だんだんと鬱陶しさを感じるようになって。

 

私と比較してくることが多くなった。遠回しではあった、でも、プライドの高い私はそういう私見下されセンサーが敏感に出来ている厄介女なので、気づいてしまった。

毎度毎度何回も聞かされている話をループされた。例えば男に声をかけられた話、ホテヘルやチャトレのバイトで男に気に入られた話をされる………もううんざりだった。一度くらいなら別になんとも思わない。そうなんだ、で終われるのに、暗記できるほどに聞かされればこちらとしても流石に拒否したくなる。

「前もそれ言ってたね」と言っても、効果はなかった。相手は話したことを忘れたのか、目的はなんなのか、私にはもう答えを知ることはできないが、とりあえずいくつかある幸せエピソードを壊れたラジカセのように私は聞かされていた。遠回しに、「私はお前よりモテるのだ」と言われるのがしんどくてしんどくてたまらなかった。

 

知っている。私がモテないことなんて痛いほどに。人様から教えていただかなくても知ってるんです。人の傷を抉らないで。私はそれでも必死に生きてるんです。頑張って、それなりに、一人でも生きていけるように。それなのに、そんなにコンプレックスを刺激する真似しないで。私が死ぬほど彼氏が欲しかったとき、ちょうどあっちが中学生の同級生から連絡が来てる、とかいう話をしてきて、心が色々と凹んでいた私は「いいなあ、彼氏も私よりすぐできそうだよね…」なんていつもなら言わないようなことを言った。そしたらスイッチが入ったかのように自分の話を始めて、まあ峠野もできるよ〜(ちなみに彼氏ができたわけではない)って上から目線で行ってきたの、私忘れてないよ(根に持つタイプ)。

 

というより本音は、そんな雑魚レベルのモテ方で私にマウンティングかますな、と思っていた。

 

白石麻衣のように綺麗な女の子に、男から死ぬほど貢いでもらった話を聞かされるなら、まだ平気だった。だってまいやんだもん、そりゃ男がほっておかない。もうそんなの羨ましいを通り越して尊敬。見下されてもしょうがない。どうぞその綺麗な御御足で私の頭を踏み付けてくださいませ、と言えたわよ。

 

でもそんなにかわいいわけでもない、まして垢抜けてない女の子にワーワー耳元で騒がれたら「てめえ黙ってろ」としか思えないわけで。無心で「へ〜〜」という気力もどんどん尽きた。

 

一番多かったのは外見やら男関係のことだったけど、学歴も職種も日頃の過ごし方も何もかもが比較された。大学は私はご存知(?)あの森の中の大学だけど、彼女は私立の農業系。正直理系文系で比較なんてできないし、Fランと東大早慶とかでもない限り比較は難しいと思っている。

それなのに、遠回しに私の大学を馬鹿にされていた。言葉で、というより態度でと言った方がいいか。理系と文系ってこともまずかった。

レポートそれなりに大変だったし、毎週の課題もあったし、バイトも私なりに必死こいてやってたのに、「テスト週間とか楽そうでいいよね」とか、「文系は書くだけだもんね?」とか言われてみろ。いうてお前農業系だろ。しかもサークルもバイトもしてない暇な女子大生だろうが。テスト勉強し放題だろうが。中途半端な学歴で中途半端な学歴の私を見下して楽しいのか!?と、当時は腹わたが煮えくり返っていた。

一番本気で後ろから一発殴ってやろうかと思ったのは、私のスタジオ・ゼミでやってたことをいかにも簡単そうだと言ってきたこと。いくつか言われたが、私の卒論のテーマについてとか言った時だったかに言われたのは、「そんなことやってるんだ!楽しそう〜私だったらもっとやばいの書けそうだな〜〜(本当にこのまま言った)」。

 

後半のひとこといる!?楽しそう〜〜で終わればよくない!?お前やってること理系のことなんでしょ!?犬とか動物系と触れ合うゼミなんでしょ!?こっちは答えの出ない人間の闇(笑)と触れ合ってたの!!犬と人間だよ、対象は!!比較できるわけないしお前の知識はこっちに流用できるものでもないの!!私の知識もそっちでは犬の餌にもなんねえし!!うるせえから黙って犬にお手でもさせておけ!!お前の学科何しとったんか知らんけど!!!!

 

 

就職後、彼女の仕事は職場の人数が少ない故にどうしても残業が多くなってしまい、毎日大変そうであった。車や自転車で客先に回って、客先から検体を回収するような、身体を使うことが主な仕事。日曜祝日は固定休だけど、もう1日の週休は水曜が多く、シフト制だから好きな日には取りにくいらしい。

一方の私は、残業を10月まで許されず、肉体より頭を使うデスクワークのSE。土日祝が休み。

同じ職種ならまだしも、全く互いに違う職種。それなのに、彼女はこれについても比較してきた。

 

そうそう、比較して私の方が優れている、というだけではない。「私の方がかわいそう」「私の方が大変」と、悲劇のヒロインぶる一面も彼女にはあった。

 

だから、私の方が仕事大変、仕事頑張ってると遠回しに言われ続けた。あのな、お前だけじゃなく私も、そして私の周りの皆も、仕事は頑張ってんだよ。大変なんだよ。それぞれ違う種類の苦労があるんだよ。なんでそんな簡単なことも分かんないんだ?苦労してない人間なんてほぼ皆無だよ。

一度ならまだしも、会うたびに打率9割レベルで言われたら「じゃあ辞めたら???」と言いたくなった。つーか一度言った。でも効果はないというか、寿退社って形で辞めたいとかほざいたので、もう知らんがな………というしかなかった。じゃあさっさと結婚しな。それくらいしか言うことはない。

大変なのは痛いほどわかったし、最初は私だって労ったりもした。でも、毎度毎度言われたら、じゃあそんな大変な中で遊びに行くの嫌だったか?とか色々邪推してしまった。お前は知らないだろうけどさ。

 

 

そんな感じで、何度も何度も繰り返し比較されたら、私の心も疲弊してしまった。だから、本当にこれは反省点なんだけれど、私の負けず嫌いなところが発揮されて、私も比較するようになってしまった。そのうち相手を見下すようにもなっていた。社会人になった頃には、完全に私は彼女への尊敬の念を1ミリたりとも残していなかった。

もうこの時点で、薄い氷の上でなんとか成立していた、そんな危うい友情だったのだ。

 

だからきっと、彼女は私のことを「比較してくる」「張り合ってくる」「自分に自信がある」と思ってるんだろうな。たしかにそう。でもそれは、私は貴方の真似をしただけ。大人気ないけど、やり返していただけ。私は自分に自信があるどころか、皆無に等しいから。

この高く脆いプライドが傷つかないよう、彼女の前では虚勢を張った。プライドを何重もの鎧で包み隠した。彼女の比較にはなんの関心のないフリをしつつも、たまに私の方が上だと言わんばかりの爆弾を投げて。毎日が攻防戦。プライドとプライドの合戦である。私も変に敏感になってしまって、小さなことでも気になっていた。でもそれが笑顔に隠れて行われていたのだから、本当に今考えても恐ろしい。

 

 

でも彼女の不思議なところは、具体的な数値やらを断じて言ったり聞いたりしないところだった。仕事の上下を測るなら給料を聞けばいい。モテるモテないを測るなら今まで告白された人数でも聞けばいい。でも、一切それらに関して聞かれることはなかった。私も比較されるのが嫌なので聞くことはしなかったし(まずこれらに関して興味がそんなにない)。

 

 

 

 

そして、ついに薄氷が割れるときが訪れた。

 

 

私に彼氏ができてしまった。

本当は、言うつもりはなかった。今の関係が崩れるのが怖かったし、比較されるのも嫌だったし、彼氏についてあれこれ聞かれて評価を下されるのが一番嫌だったから。

でも、好きな人ができた話を流れでしてしまった手前、結果を報告しないわけにはいかなかった。

これは余談だが、先輩のことが好きになった時も、私が勇気を出してLINEしたりしている話をしたら、「よくそんなにグイグイいけるね〜!私だったら相手に言わせちゃうなあ」という一番嫌いな女のタイプのようなことを言われた。

これは私の心が汚れきっているからかもしれないが、この時の言い方・顔を見ると、「自分から動かないと相手にしてもらえないんだー」という皮肉が入っている。

 

先輩と付き合うことになりました…と報告した時の、一瞬曇った顔が今でも頭から離れない。確信してしまったから。そうか、やっぱり「そう」思ってたんだなあって。

見下していた私が先に彼氏ができるとは思ってなかったんだろうなあって。だから悔しくてたまんないんだろうなって…こうなるのがわかってたから、私は言いたくなかった。

逆の立場だったら、私も複雑な気持ちだっただろうから。彼女に彼氏ができたと言われたら、祝う気持ちより先に、さらに見下されるんだろうなって気持ちになるだろうから。さらに、これだけボロクソに言いましたが、私の中ではやっぱり特別だったので、そんな友達という関係に収めるには難しい彼女に彼氏ができる、というのは盗られてしまったかのように感じてしまっただろうし。お互い彼氏がいなかったのに、1人だけ別世界に行ってしまったかのようにも思うだろうし。色々と思うことはあるだろうから。

 

 

だからもう、先輩の話は彼女の前ではしないように決意した。聞かれたら答える程度に留めた(その分ここでアホみたいに言ったけど)。私が逆の立場だったら、彼女から彼氏の話を毎回聞かされたら多分翌日布団から出られないくらいのダメージを食らうと思っていたから。一応色々と彼女のことを考えて行動をした。

 

 

 

それなのに、どうしてこんなことになったのだろう。

いや、これはもう、必然だったのかもしれない。

 

 

 

 

2人でずっと趣味のイベントやライブに行き続けていた。少し前に2人の推しのイベントが決定して、これは2人で行くしかないね、と盛り上がった。

私はもうそのつもりでいた。2人でって。2人の推しだけなら、もうそれは私たちのためのイベントだなって。

 

でも、彼女は違ったみたい。

 

というより、私に彼氏ができてから明らかに彼女は私に対する態度が変わった。比較が本当に洒落にならないレベルで増え、嫌味も言うようになった。私は生憎(?)先輩大好き!な気持ちがプライドをいつも勝手に守ってくれているので、そこまで傷つくことはなかったが。

前まで連絡も頻繁に取り合ってたのに、あまり取らなくなって。とはいえこれは連絡を取らなかった私にも原因があるね。

 

だから、今まではイベントの申し込みも事前にいつ申し込むかとか相談の連絡が彼女からきてたけど、今回は連絡がなかった。でも私の中では、2人で行くしかないね!という彼女の言葉が、約束だったので、普通に2人分申し込んだ。

これが過ちだったのか。

 

結局彼女は、私と行くことより、昼夜両方のイベントに行くことを選んでいた。

私に一言の相談もなく。私の見えない形で。

それが私には、彼女からの裏切りとしか見えなかった。

ああ、私を選んではくれないのか。

私はそのイベントに行くかどうかなんてどうでもよくて、「2人で」行くことに意味があると思っていたのに。

そうか、そう思っていたのは、私だけだったのか。

 

 

本当に些細なことがきっかけだ。こうやって文章にするのも恥ずかしいくらい。学生時代にする喧嘩レベル。お互いに連絡をすれば、こんなことにはならなかった。

一言確認するだけだったのになんでできなかったんだろう。

私は、ただあっちからの連絡を待っていたのだ。

彼女が、連絡という形で、私を必要としていることを証明してくれると信じていたのだ。

 

 

それを、いともたやすく裏切られてしまった。

 

 

ボロクソ書いたけど、これはこんな形になったから今まで我慢していたアレコレが溢れ出ているだけであって、こうなる前は(色々思うところはあれど)やっぱり大切な親友には違いなかった。

親友に必要ないとされることが、どれだけ苦しいか。酷なことか。人に対する執着心が強く、また裏切られた経験がある人間にしかわからないこのどうしようもない空虚感。やり場のない怒り。

 

 

それに追い打ちをかけるかのような、彼女からの言い訳。

正直、吐き気がした。一気に彼女が人に見えなくなった。言い訳をする前に、一言謝ってくれたらまだこの怒りを鎮められたと思う。でも、彼女は言い訳を、私はこう思ってこうして………とつらつらと並べて。そうしてからようやくごめんね、と言われた。

 

 

 

なぜ、順序を間違えるの。

 

 

 

 

 

いや間違えたんじゃない。彼女にとっては、それが正解だったんだ。

 

 

 

ぷつん、と何かが切れた音がした───というのが過言ではないほど、私の中で何かが切れた。

 

 

その途端今まで我慢して、見ないふりをして、ごまかしていたあれやこれやが私の中で一気に崩壊した。

そして薄氷にもピシリとヒビが入る。

 

 

 

多分、まだこの現況に耐えられる私だったなら、ごめんねと言われた時に「いいよ」なんて言って許せた。というより、道徳的にも許すべきなんだろうなとは思う。

 

 

でももう限界だった。

私の心がもう受け付けない、と拒否をした。

これ以上彼女といたら、自分が壊れてしまう。………悲痛なSOSだった。

 

 

 

 

逆の立場だったなら、私がもし彼女と同じ行為をしたなら、彼女はきっと私と同じように怒った筈だ。泣くだろうな。

私はそうやって、いつも逆の立場だったなら、というIFを考えて行動してたのに、彼女は人の気持ちを考えることすらしてくれていなかった。

 

 

 

思えば、私は彼女に欲を言ったこともなかったなあ。

彼女は○○したい、というのを、これまた遠回しに「○○の方がいいと思うけど…どっちでもいいよ」と言ってくる女の子だった。それならはっきり○○がいい!って言ってくれる方が幾分も楽なんだけど。でもこれはきっと彼女なりの気遣いだったのか。

でも私は○○したいと言ったことがなくて、彼女のしたいことに付き合うという形だった。彼女が○○がいいなあと言ったら、私も○○がしたい、と言って合わせてた。

それは苦ではなかったから、寧ろ楽だったからそうしてた。

 

 

彼女が話したことは覚えてるんだけど、私が何を話したか覚えてない。というより、私は私の話を自分から話していなかった。

彼女から聞かれたら答えるのが常だった。

彼女は、私の話を聞くときの反応が乏しい。感情は豊かなはずなのに、私の話すターンになると、どうしてか「早く終われよ」という気持ちがなんとなく伝わってきて、話すのも手短にした。その分、彼女の話の聞き役に回った。リアクションをちゃんとした。

私は自分が話してる時に相手のリアクションが薄かったり面倒そうだと不安でしょうがなくなってしまうから。その気持ちにはさせたくなくて。見下されながらも、何度聞いた話であっても、ちゃんとリアクションをした。たまにしんどくて聞こえてないふりをしたこともあったけど(どっちやねん)。

 

 

ともかく、私のことを思ってくれてなかったんだと、私は彼女にとってのなんだったんだろう、私だけがこんなにも苦しいのか、あらゆる感情がぐるぐると渦巻いてしまった。

 

 

私たちは似てるところもあって、何年もいるうちによく同じ動きをしたり、同じタイミングで同じことを言ったり、ユニゾンすることが増えた。それはとても楽しくて、嬉しくて、私にとっては幸せだった。きっとそれは彼女にとってもそうだったと信じたい。

それでもやっぱり根本が反対方向を向いている。どこか価値観が違う。

なんというか、大切なところで価値観が異なって、どうでもいいところで意気投合する、といった感じ。どうでもいい、きれいな上澄みだけを見て、「私たち気があうね」と言い合っていたに過ぎないのだ。

 

 

彼女のことが大好きだったけど、大嫌いなところもいっぱいあった。

大切だと思っていたけど、鬱陶しいところもいっぱいあった。

でもそんなマイナスの部分を、私は見ないふりをして、いいところだけを見ようと努めた。

彼女が「自分のことしか考えてないなあ」というような言動をしても、「まあ人間そんなもんだし、何より私がそうだしお互い様だよね」と言い聞かせた。

 

 

 

 

彼女もそうだったんだろうか。

 

 

 

書いていて涙が出てきた。

私は、ひょっとして最初から友達ともなんとも思われてなかったのかもしれない。

私も、友達として彼女を見てなかったのかもしれない。

 

 

だって本当に友達だったら、親友だったら、そういった不満もちゃんと言うんだとおもう。

それは嫌だからって拒否をするのだと思う。

何より互いを比較して見下したりなんてしないでしょ。互いに尊敬し合うものじゃない?

だって他の友人には尊敬の意しかない。それは関わりが少ないからなんだろうか?正解はわからない。

とにかく、いい意味でも悪い意味でも彼女にだけ抱いた感情が多すぎた。そしてそれが一気に弾け飛んだ。

 

 

 

 

一度無理だと思うと、どうしても再度受け付けるなんて、私にはできなくて。

 

 

 

大人気ないけれど、彼女の顔を見るのも無理になってしまった。

週末の約束も、私はいかないからと連絡して行かなかった。彼女は謝りたいからきて欲しいといっていたけど、どうせ泣いて、私を悪者扱いするのはわかっていたから。

そんなところに行ってしまったら、永遠に彼女を許せなくなると思った。そして自分を不必要に責めてしまう、と本能が行くことを拒否した。

 

 

 

その後、彼女の態度が豹変し、本性が見えてしまった。

私の限界がきて崩壊しフィルターが外れてしまったからなのか、彼女が自ら見せてきたのかは分からない。

最初の言い訳なんて可愛いもんだった。

彼女はあろうことか、自分はちっとも悪くない、という態度に変わっていた。

 

 

恐ろしく思った。もちろん、私は彼女だけが悪いと思っていたわけではなく、私にも反省点はあると考えていた。

でも、全ての発端は彼女の裏切りにあったわけで。それすらも私にあるのだと言い始めた。

 

ここでようやく、彼女の世界には、私は存在しなかったのだということを痛感した。

悪いように言えば、私は彼女にとっての都合のいい存在だった。

 

彼女の言い分は、時系列がバラバラで、私の言ったことも改変、自分の言ったことまで改変されていて、何が真実かわからないほど。

自己保身にもほどがあった。

私も自分が大切だし、自分を守るために必死になることはある。それが人間。でも度合いってものがある。嘘は流石につかない。悪いことは悪いと認めるのが常。

 

 

でも、彼女は違ったのだ。

自分が悪くないことを証明するためには手段を選ばない。

自分が大好きで、自分しかいない世界で生きている。

そして何より、そのことに彼女自身が気づいていない。

 

 

 

それが、私が行き着いた最後の彼女の結論だった。

 

 

 

最後はもうなんだか何を言っても通じないようだったので、精一杯の反撃として刺々しい言い方のLINEをしてさようなら。

彼女は、その後Twitterで私のことを新型うつ扱いしてくる様。

 

 

呆気ない。こうも人間関係の最後は呆気ないものなのか。7年間の付き合いがたった7日間で幕を閉じた。いや、本当は7日間じゃない。大学4年間という長い期間をかけて、構築と崩壊を同時に起こしていたのだ。

 

 

 

私がここまで言っているのと同時に、彼女もきっと私のことを誰かに伝えているのだと思う。それはいい。でも、それは彼女の世界で歪まされた私であって、私のことではない。

それを間に受けて、どこかの誰かが私のことを責めていると思うと、どうしようもなく虚しい。

 

あれだけ大好きだったのに、あれだけ大切だと思っていたのに、目が覚めて冷静に考えたら、残酷なことしか残っていなかった。

知らない方が良かった真実。ボロクソに言った部分の大半は、こうなる前の私はほとんど見て見ないふりをしていたこと。

私は彼女の世界で踊らされていたに過ぎない。

 

 

こうやって冷静に文章にすると、気持ちが整理されると共に、昔の辛かったことと同時に楽しかったことも思い出して涙が出る。

見ないふりをしていた方が幸せだったんだろうか。

というより、この文章で書いている彼女についても私が私の世界で見ているだけで、本当に悪いのは私ということはあり得ないだろうか。

私が間違っていたんだろうか。

本当は、彼女を傷つけていたのは紛れもなく私で、自己保身に走ったのも私なんだろうか。

私の世界に彼女は存在していたのか。

もう何もわからなくなっている。

 

 

彼女は私のことをいつまでも責めるんだろうし、私のことをこれから好きだと言ってくれることなんて一度もないんだろう。

こんなことを考える時点で、やっぱり我慢しておけばよかったんだろうか。

 

 

 

悲劇のヒロインぶってるのは、私なのか?

もう、何もわからない。

私は本当に病気ではないのか?

もう、正常と異常の境界線なんてわからない。

一つだけ確かに言えるのは、良くも悪くも私の人生において影響大の人物だったということだけ。

 

 

私はなんなんだろうね。考えれば考えるほど、もうわかんなくなっちゃったな。