毎日がゴミの日

はきだめ

9

元カノコンプが消えない。

別に彼氏から元カノの話を進んで話されているわけではない。

元カノコンプが消えない。

別に元カノと比べられているわけではない。

 

とにかく元カノコンプが消えない!!!!

 

 

私は今まで何も知らなくて、男と二人でどこかに出かけるという経験も皆無で、男から可愛いと言われたことも、まして好きと言われたこともなくて、何もかもを彼氏から教えてもらった。

全ての初めての経験は、彼氏とした。

 

それなのに、彼氏は2年付き合った元カノと一通りの初めてを経験しているのだ。

初めてどこかにデートをしたのだって、初めて手を繋いだのだって、初めて好きと言い合ったのだって、全て全て、彼氏の初めての相手は私ではない。

 

 

初めての経験は、全て私の中でキラキラと輝いて存在している。初めて好きな人と結ばれたときは、このまま死んでも構わないとすら思った。

そこまでではなくても、初体験には何かしら特別な感情を抱くのが大抵の人間だ。

 

 

彼氏もきっと例外ではない。

だから、私が「初めての○○はいつ?」と酒に酔った勢いで書いたときだって、すんなりと教えてくれたのだ。

ずっとずっと、初めてを教えてくれた元カノは、彼氏の中で残り続けるのだ。

 

 

それって、もう私に勝ち目はないのと同義だ。

たとえ、「今の彼女は私」だと慰められようと、そんなの私の傷を癒すには値しない。

元カノの存在を綺麗さっぱり忘れてもらうか、あるいは死ぬしか方法はないのだ。

 

そんなの無理だ。

だから私は彼氏と付き合っている限りは、一生この傷を背負って行きていかねばならないのだ。

 

 

 

拷問に等しい。

私に元彼がいたらまた違ったのだろうか。

少しはマシだったりするのだろうか。

 

 

 

わたしの顔も存在すらも知らないであろう人間に、どうしてここまで翻弄されなければならないのだろう。

考える方が馬鹿なのは百も承知だけれど、考えないなんて到底無理で、どうしても気にしてしまう。

 

きっと楽しい思い出なんて2年もあればそこそこにできるだろうから、その場所、似たシチュエーション、匂い、音、あらゆるものが記憶の鍵となり、元カノに想いを馳せるのだろう。

つらい。本当に辛い。ギチギチと首を締めてくる。

どこにも存在していないけれど、はっきりと存在している元カノに、私は殺されそうになっている。

 

 

 

 

私は自身の重さと面倒っぷりを痛いほどに思い知った。

愚かなことに、自分から元カノの話を聞いてそうして見事に刺された。

初めて手を繋いだのはバイトの帰り。

まだ付き合ってないときで、元カノからしてきてびっくりしたんだって。

 

ねえ、こんなの特別な思い出に決まってるじゃない。

 

大学2〜3年の時に初めてできた彼女。

 

可愛くて、あっちから好きだと言ってきて。

 

そんなの特別な存在でしかないじゃない。

 

 

青春時代を捧げた相手なんて、頭が忘れても魂が、心が死ぬ気で記憶のかけらを離さない。

 

 

私が一番知っている。

片思いですらそうなのだ。

 

 

 

 

 

一生この傷は癒えないのだ。

どれだけ楽しい時間を過ごしても、どれだけ長くいようとも、きっと死ぬまで苦しむのだ。

わたしが彼を好きでいる限り、生きている限り、元カノにならない限り。

 

 

 

未来より、過去なのだ。

だって、未来は変えられるけど過去は変えられない。

その事実は永遠に残る。

 

 

ずるいよなあ、元カノって。

あっちがなんとも思ってなくとも、こうやって他人を苦しめて。

わたしは生きる価値すら疑い始めるというのにさあ。

確かに肯定してくれる存在がいるんだもんなあ。

何が元より今なんだろう。

今なんて変えられる可能性があるというのにね。

元は変わんないんだよ。

 

 

ああ、ずるい。

 

8

初めて喧嘩をした。いや、喧嘩とまではいってないけど、ちょっと険悪な雰囲気になった。あと1週間で付き合って半年。そんな時期に初喧嘩とは遅いのか早いのか。まあそんなことはどうでも良い。

 

 

 

一泊二日の箱根旅行に行った。

のんびり、プランも厳密には決めないゆるゆるとした旅行。私も先輩もそういう旅行の方が好きで、そういう物事における価値観は似てるところが多かった。

ただ、前々から合わないところがあることに薄々気がついてはいた。そりゃそうだ、全てが合致する人間なんて、自分以外にいるわけがない。血の繋がりのある親でさえ、私の全てと一緒かと言われたら、そんなことあるはずがないのだ。

 

効率主義。先輩は、無駄なことが嫌いだった。

私は先輩以外の男を知らないので、他のサンプリングがないのが厄介だが、それにしても先輩のそれは、私の周りの人間の群を抜いていると思う。何も考えずに行動するのも滅茶苦茶に嫌う。非常に論理的な思考の持ち主。

それに比べて私は、効率も大事とは思うが、楽しいと思うか、いいと思うかが一番と考える。いわば感情主義だ。ご存知の通り(?)論理的思考なんて持ち合わせちゃいない。

なんとも「男女」って感じの2人。そこがどうも私たちの大きな差異だと、ずっとずっと思っていた。

 

だからたまーに、相手の言動に不可解な気持ちを抱くこと、イライラすること、それが互いにあった。私は他人のイライラした気持ちには過敏ですごく気持ち悪くなってしまうので、(多いわけではないが)先輩がイライラする度に気になっていた。

ただそれに対していちいち反応する(例:怒ってる?とか聞いたりする)と逆効果ということは母親で知っていたので、スルーを繰り返した。自分の言動でその空気をどうにか良くしようとすることもあった。

「私だって、先輩のそういうところにイライラしてるけど、我慢してるのになあ。ちょっと露骨に出すのはなんなんだ?」なんてつい最近は思うこともあったけど、それなりに見て見ぬフリをしてきたつもりだ。

 

 

だが、それも限界を迎えた。

箱根旅行2日目。ロープウェイに乗って、大涌谷から芦ノ湖に向かっていた。芦ノ湖大涌谷どっちの標高が高いのかわかんない的なことを私が言った。普通に考えれば、ロープウェイで大涌谷から芦ノ湖に下っているわけなのだから、大涌谷の方が高いなんて明白。ただ、優しくいつものように突っ込んでくれるかな、なんて淡い期待を持って、そんな「何も考えてない」アホ丸出しな発言をした。

 

そしたら、普通に考えてわかるでしょ、とまあイライラと馬鹿にした気持ちが混合した言い方で先輩が私に言った。きっとこの発言以外にも、先輩にとってはイライラする言動があったんだろう。それが溜まって凝固して。鋭い刃物のようにそれは私の心臓を突き破った。ちくちくと痛かった。

そんな言い方しなくてもいいじゃん、なんでそんなに怒るの、そこまで馬鹿にしなくてもいいじゃん。頭の中で巡り巡る感情的な言葉たち。でも、私は理性でそれらを抑えた。先輩のようなタイプの人間に感情でぶつかるのは野暮だと、なんとなく感づいたから。いつもみたいにヘラヘラと笑ってやり過ごせばいいんでしょう、と我慢した。

 

そうしたらそれもまた苛立たせたのか、トドメの一言。「そんなに何も考えてないと、この先一緒にいるのは無理だなあ」

言い方は優しかった。でも、目は笑ってはいなくて。大好きな人に言われるには、あまりにも辛かった。辛くて辛くて、もう何も言えなくて、そして私の悪い癖なのだが一周回って腹も立ってきて、頭の中で「あーもう無理だわ別れるしかねえか」とか考えた。

 

私は決して何も考えてないわけじゃない。私の言動の9割ほどは、ちゃんと意味があって、私の中で考え抜かれた結果のものなのだ。こうしたら相手が楽しいだろう、笑顔になってくれるだろう、不愉快じゃないだろう、それが私の考える軸で。感情的になってさえしなければ、眠かったり疲れてさえしてなければ、つまり理性がしっかりと仕事をしていれば、いつもそれを考えて最善を尽くしているつもりだ。

それに加えて、私は自分の考えを馬鹿にされるのが大嫌いな、高いプライドの持ち主。

「私なりに考えているのに何も考えてない」と「馬鹿にされた」。これだけでもう私を傷つけるには十分すぎた。

 

 

ただ、理性だけは辛うじて職務を全うしようとしていてくれたおかげで、そこで感情を露わにすることもなく。「さっきの発言は馬鹿でしたねー」と私なりに冷静に受け答えして、それからいつもみたいに他愛ない話をするようにした。ただ私の心はぐちゃぐちゃだった。イライラと悲しみと、もうなんかどうでもいいなあという虚無じみた気持ち。

 

 

海賊船に乗って、他のカップルが楽しそうにしている中、私たちはほぼ無言だった。

私は頭の中で色々考えていた。なんであんな馬鹿なこと言っちゃったんだろう。今は好きという気持ちがきっとお互いにあるからこれくらいで済んでるし我慢もできるけど、この気持ちがなくなっちゃったら終わりなんだろうなあ、あんな言い方ないじゃん、あのカップルの彼氏は私の馬鹿な発言にもあんな言い方しないんだろうなあ。

そうやって色々考えてた。途中先輩が私の異変(イライラ)に気づいた(私は目を合わせようとしてなかった)のであろう、ちょっかいをかけてきたけど、気づかぬふりをして先輩とは別方向を見ながら自分の世界に入り込んだ。

 

そのうち先輩が寝た(ふりだと思う)ので、先輩の方を見て、でもやっぱりすごく好きだし、どうしてこんな風になっちゃうんだろうなあ、今後もこんな感じだったら確実に別れちゃうよなあ、とか、ずっとずっと考えてたら涙が出て止まらなくなっちゃって。

先輩が眼を覚ます前に止めようと思ったけど、無理だった。バレないようそっぽ向いてたけど「外の景色がずっと変わらないね」って先輩が話しかけてきたから思わず振り返って見てしまって、「え!?どうした?」とぎょっとしていた。そりゃそうだわな。

 

先輩はそのまま私を無言で抱きしめるので、いい歳して人前で泣きじゃくってしまった。声は極力抑えたけど。

「俺はずっとこれからも一緒にいたいと思ったから、ああ言ったんだよ」

「…………ずっとモヤモヤしてて。私、嫌われちゃったらどうしようって。別れたくなんてないから、どうしようって」

その互いの一言ずつだけ、覚えている。

 

 

 

そのまま泣き止んで、表だけは何事もなかったかのように旅行を続けて、帰宅した。

ただ私はその道中、ずっとずっと考えていた。今はこれでいいかもしれん、でもずっと長くいる中でこんな形の喧嘩だったりすれ違いって、まずい気がする。互いに我慢してるだけじゃ、根本的な解決には繋がらない。本当に私はこの人と付き合っていて幸せになれるだろうか。

 

何より私と付き合っていてこの人は幸せになれるだろうか。

無駄なことが嫌いなのに、無駄なことをする私。

何も考えない言動が嫌いなのに、何も考えてない(ように見える)私。

そんな私と一緒にいて、これこそが無駄の極みじゃない。

私が唯一自分の長所だと思っているのは、面白い、何事もそれなりに文句を言わず楽しむってところだと思うんだけど、「面白いだろう」と考えてやったことが、「何も考えてない」と一瞥される。こんな辛いことはないし、長所が何もないアホな女。そんな私になんの価値があろうか?

 

そんなモヤモヤをずっと腹に抱えながら、先輩の家についた。お酒を飲みながらどうでもいい話をした。そしたら、「宿の予約してくれてありがとね」って言ってくれて、いえいえ、なんて言いながら、自然と「さっきの」につながる話になった。

 

「まあ、半年になるじゃん、長いこと付き合ってたらこう相手の欠点も見えてくるわけだよ」

「そうですね。私も先輩の欠点色々見えてきたしなあ」(精一杯明るく言っている)

「どこ?言っていいよ?」

「んー、その場ではあるけど忘れちゃうからなあ」

「俺もそうだよ」

「え?そんなにいっぱいあります?」

「多分感じ取ってないんだろうなってことが多々」

「先輩もイライラしてるときありますよね?なんとなくわかる」

「まああるねえ」

「そういう時はよくスルーしてます。うちの母親がイライラしてるときに何か言うと余計に腹立てる感じなので」

「スルーが正しいと思うよ。そういう受け手の問題もあるし」

「じゃあ先輩がイライラしてるなって時は、私が原因でなければスルーでいい感じ?気にしなくていいのかな」

「いや、全部(私が)原因だよ。原因もなくイラつかないから」

 

 

…………じゃああのイライラも、そのイライラも、私が全部全部原因だったわけ?「なんで怒ってんだろ?」って思ってたけど、私が全部悪いの?私だって、先輩の言動にイラつくなんて多々あるよ?全部我慢してんのに。嫌な雰囲気になるの嫌だから、私は我慢してんのにそっちはいいのかよ。

 

 

そうやって感情ぐるぐるさせてたせいで、またまた涙が止まらなくなってきちゃった。

「女は泣けばいいと思っているのが面倒」というネットの記事だったりを見ていたので、必死に見られまいと顔を伏せた。そのまま受け答えするけど、違和感ありまくり。

 

そのうち先輩がそっと私を抱きしめた。

 

「困るのがさあ、俺はもちが楽しそうにはしゃいでる姿が好きなことなんだよね」

 

そう。それは私がずっと引っかかっていたこと。

「面白い・楽しい」と、「何も考えてない」の紙一重なところ。

先輩は私の面白いところが好きだと言ってくれたけど、何も考えてないところが苛立つ原因で。

それってもう、蟻地獄じゃない?

 

「後から、あれなんであんなにイライラしたんだろうって反省することあって。俺も改善しようとしてるんだけど、ごめんね」

 

 

先輩は優しく、そう言った。

そうしたらもう涙がまたまた溢れて止まらなくなっちゃって。

 

「いや、私の方がごめんなさい。さっき泣いちゃった時も、ほんとは泣きたくなんてなかったし、今も泣きたくなんてないんです。面倒だって思われるのも嫌だし。でも滅茶苦茶考えてたら、泣けてきちゃって…

私、考えてないって言われたけど、私なりにすごい考えてて。だから、何も考えてないって言われても、どうしたらいいかわかんないんです。でも私、先輩とずっと一緒にいたいから。改善していきたい」

 

そんな感じのことを泣きながら言った。

そこから私が泣き止んで冷静になって、いろんな話をした。

 

 

私の考える軸は、相手が楽しいか否か。愉快か不愉快か。

先輩の考える軸は、相手の損得。楽しいか否かも大事だけど、相手が本当に楽しいかは分からないから、絶対的な価値の損か得かで動けば、害にはならないでしょ、とのこと(滅茶苦茶理にかなっている)。

 

そうやって考える軸が違ったら、たとえ自分で考えてるつもりでも相手にとっては考えてない、になるわけですよね、だから、基準の擦り合わせだったり、共有が必要なんだと思う、的なことを私が言ったら、まともなこと言ってるなあ、いつもそういう感じでいればいいのに、と言われた。出してないだけで、まじでいつもこういうこと考えてるからね、私。

 

 

もちは変な方向に考えるからなあ。マイナス思考とか、もし〜だったら、って考えるのって無駄じゃん?何か変わるわけでもないし。それならもっと違うこと考えてた方が有意義でしょ、と先輩が言う。わかってる。言葉ではわかってるんだが、何にせよ感情主義が邪魔をして論理的思考に走れないのだ。

 

 

 

でももちが、ちゃんと考えるようになって行動したら、最強じゃん?面白い上に考えられる。

俺はもちの明るくて元気なところ大好きだからね、とか言う。フォローがうまい。なにそれ。びっくりする!!

 

 

 

でもやっぱり、たった一泊二日なのに相手の嫌なところが見えてきてこんな感じになるんだから、夫婦生活ともなると色々と擦り合わせて支え合っていかなきゃいけないんだろうね、と先輩が言った。

 

 

こうやって話し合えて私は嬉しい。これからも、もし喧嘩したとしても後々にこうやって話し合いたい。感情抑えて我慢してたら絶対に良くないから。私は先輩とこれからも一緒に過ごしていきたいと本気で思ってますから…とか言ったかな。

 

 

初めて喧嘩みたいなのしたね、と先輩が笑いながら言った。これ喧嘩かな?、、、まあ喧嘩みたいなもんか。激しくはないけど。

 

 

23年間私がこうやって生きてきたように、先輩も全然違う関係で今まで生きてきて、当たり前ですけど価値観も全然違うじゃないですか。でもどれも正解不正解なんてなくて、他人が一緒に生きていくにはそれらを擦り合わせなきゃいけないんですよね。難しい。本当に。私頑張りますから、改善しますから、馬鹿なことを言っても、イライラせずどうか大目に見て欲しい、、笑

 

どうでしょうなあ笑

 

 

 

 

…………そんなこんなで、今回の箱根旅行は少なからず私たちに大きなターニングポイントになったのであった。

 

 

 

その夜は先輩の家に泊まったんだけど、起きたら「あれからもちに考えて欲しいことじっくり考えてたんだけど、眠いからまた今度いうね笑」と言われた。本当に先のことを考えてくれてるみたいで、心から嬉しかった。

 

 

 

ただ私には大きな課題が残る。

考えるようにならなきゃならないこと。いや、正しくは「論理的に」考えなきゃならないこと。仕事でもできていない論理的思考。実生活でも必要な時が来た。

 

 

馬鹿だなあとか、なにも考えてない、なんて、今まで誰にも言われたことがなくて。

私はあまり気を遣えないことについては自覚があったけど、空気を読むとか、無神経なことを言わないとか、そういうことはちゃんと気をつけてるつもりだったし。

私に色々考えて生きてきたつもりだった。

 

でもそれって、所詮女友達の前でだけ。「女」の前の私であって、「男」の前の私ではなかった。

男女問わず同じように、、、なんて口では言ってたけど、実際はそう容易くない。私は目の前の人間を、ただの人間としてみることなんてできない。男か女か。LGBTについて色々議論が飛び交うようになったこのご時世でも、私は性別というフィルターを外すなんてできなかった。

だから、知らぬ間に男女の前で態度が変わる。

 

女の友達の前では馬鹿なことを言いつつも、決して甘えることはしなかった。弱さを見せるのが嫌だった。

でも、初めて接したと言っても過言ではない「男」の先輩の前で、私は本当に馬鹿な女に成り下がった。

 

そもそも、私は賢くはない。それは重々承知だけれど、そんな私の中の最低点を更新していくが如く、私は愚かになっていった。別にそれは、先輩だからとかじゃない。きっと、男だからだ。私が今までこのポンコツさに気がつかなかったのは、私の世界に男がいなかったからだ。

 

 

それに、四六時中一緒にいた友達なんて私には存在しない。だからボロが出ずに済んでいた、あるいはボロが出ていても友達が我慢できる期間だったのかもしれない。迷惑をかけまくっていたのに、優しい友人たちは文句を言わずに付き合ってくれていたのかもしれない。

なんにせよ、私には自分のそういった欠点に対しての自覚がなかった。

 

 

母親も、私の悪いところを指摘してくれるとはいえ、私のように、いやそれ以上に非論理的な人間が論理的か否かなんてわかるはずもない。それに、私のことを無駄に賢いと信じきっているし、自分と自分の味方が絶対に正しいとさえ思っている。だからもし、「先輩と喧嘩してなにも考えてないってイライラされた」なんて言った暁には、「なんや偉そうに。お前はどうなんや?」とか平気で言うと思う。

私は別に、今回「だよね!自分もどうなのとか思うよね!?」と、同意を求めて愚痴を吐きたいわけではない。と言うよりむしろ、先輩を責められたら私がなにをするかわからない。勿論、イライラをぶつけた先輩が全く悪くないか、と言ったら私はそんなこと思ってないのだが、とにかく他人にどうこう言われたら気が済まない。だから、どうこう言うかもしれない母親には絶対に相談ができない。

 

今回も、こうして一人でブログにぶつけて整理して、、、

 

 

で終わるわけでもない。今回は、先輩がいる。私のその欠点を指摘してくれる、唯一の存在。

それを改善しようと一緒に歩んでくれるであろう、そんな存在の先輩が、いてくれる。

 

三つ子の魂百まで。私を形成しているこの性格をそう容易くは変えられないかもしれない。

面白いと言われるときの私は、脊髄で会話をしている。「何も考えてない」。反射的にラリーを返しているだけ。だから、考えるようになったなら、今の私は死んでしまうかもしれない。

「好き」「変わらないで」とさまざまな人に言われた私が、もう消えてしまうかもしれない。

でも、どうにかして、論理的になれたなら、それはそれで新たな面白い私が生まれるかもしれない。いや、きっと生まれる。

 

23年間、マイナス思考ばかりに磨きをかけながら生きてきて、有意義な思考はさっぱりな私だけれど、大きな大きなターニングポイント。頑張って這いつくばって、変わっていきたいと思う。

 

 

結婚も考えて付き合っていると、言ってくれた手前、全力で頑張るのみです。

少ない友人たちとももっといい関係になりたいし、仕事もできるようになりたい。

先輩がいてくれれば、欠点さえ長所に変えられら気がするから。…………なんか陳腐な歌詞みたいなこと言っちゃったね。

 

7

幸せでしょうがない。

私が祝われたんじゃなくて、祝った立場なのにこんなに幸せになったのはきっと初めてだ。

 

 

2月2日は、大好きな先輩…彼氏の誕生日だった。

3週間前くらいから、「何をしようか?」と一人で悩んだ。

ずっと忙しいプロジェクトで残業続きやったから温泉旅行でもプレゼントしようか?

クリスマスのディナーが嬉しかったから、私もお洒落なレストラン予約しようか?

 

でも結局、私しかできないことがしたくて、手料理を振る舞うことにした。

そのプラン自体については、そう細かく書くつもりはない。ただ簡単な前菜と、ビーフシチューとコロッケとケーキを作った。それくらい。

 

手紙を出したり、材料を買ったり…一週間強、毎日仕事終わりに少しずつ準備を進めていくうちに、あっという間に当日を迎えた。

 

 

 

 

 

結果的には、大成功だったと思う。

すごく喜んでくれた。本当に嬉しかった。

 

ただ、それだけじゃなくて、2月2日〜3日の2日間が幸せの塊すぎたので、こうして筆をとるに至ったのである。、

 

時系列的には並べず、これを書いている今思い出した順に書いていこうと思う。

 

 

 

 

付き合う前、私がまだ片思いだった時期。

去年の8月半ばに誘われて4人で飲みに行った時にはもう既に私の好意は伝わっていたわけだが、先輩は私と距離を置くつもりだったらしい、という衝撃的な事実を知った。

「実はさあ」と、めちゃくちゃ軽いノリで言ってくるので、そんな大したことないやろ、という気持ちで「なんですか?」と聞いた私が馬鹿だった。ものすごい爆弾だった。

 

「え????!!!!?それは、それは、好きじゃなかったから、、とか?」

 

 

 

 

先輩は、告白時に言った。

「研修の時くらいから気になってはいた」と。

まさか、その言葉はあの雰囲気で言っただけの言葉だったのか、と一気に不安になってしまった。

 

 

 

「そういうわけではなく、申し訳ないなと思って。社会人になってすぐに研修で関わったってことで、自分で言うのもどうかと思うけど、先輩だから、みたいな補正がかかってるんじゃないかと」

 

 

それを聞いた瞬間、こんなところで言うのもなんだけど、好きが溢れてしょうがなかった。全てを聞くか聞かないかの食い気味のタイミングで抱きついた。

補正なんてかかってなかった、とは言ったけど、今冷静になるとかかってたのかもしれない。

私は仕事やら、とにかくできる人が憧れ対象だし、慕うし、大好きになる。だから、研修時代に一番その様を見た先輩に対して、恋愛感情より先に尊敬の気持ちを抱いた。

その尊敬の気持ちを、恋愛感情にスライドさせたのは、多少はその補正の力もあったと思う。

でも、少人数、はたまた二人で飲んだりしているうちに、補正されていた部分ではない、内面をしっかりと見ることができて、そこに惹かれていったから、今となってはそんなのどうでもいいんだけどさ。

 

先輩も、「まあ結局そんなのことを考えているうちにグイグイ来たからまいっかってなったけど笑」とか言ってたし。まいいんかいな。

 

 

 

 

 

あと、私が安いご飯(チェーン店)だろうがなんだろうが楽しめることに喜んでた。2日目のお昼、先輩の好きな丼を出す店に連れてってもらったんだけど、見事に男ばっかりだった。

私はなんとも思わなくて、「さすがこういう店だと男ばっかなんやなあ」とか考えてたくらい。

ふつうに美味しくて、途中「これ入れると美味しいよ」と調味料を渡され色々と楽しんでたくらい。

店を出てすぐ、「いやー、もち(私のあだ名)がこういうお店楽しめる人でよかった」といった。

「デートで牛丼屋とかファミレスとか嫌だっていう人間もいるんでしょ、会ったことないけど笑」

ああ、たしかにと続けて言った。私はそんなこと考えたこともないし、私の周りの友人にもそんな高飛車クソ女なんていなくて、もはやフィクションの世界の住人ではないかと思い始めてはいるが、一応そういう人種がいることは知っている。(むしろ昔の私の大好物なネタですわよ)

 

先輩は、付き合う人の条件に、「お酒が飲める人」を挙げていた。

多分、美味しいものを食べることが好きで、それを人と共有することの優先順位が私より高い。

私は食べられればなんでもいい精神で生きているから。この先輩の価値観が私に浸透すれば、美味しいものをもっと楽しめるようになるわけで、さらに人生充実するんじゃないかな(大袈裟)とか思ったりもした。

 

 

 

 

 

1日目、2人でカフェに入った時。

 

「昨日行った銭湯で、2人の子供が「ママ25歳なんでしょ!!嘘ついてた」って大きい声で言っててさ、お母さんは「ママは20歳!!」って反論してて面白かった」

という話があった。

 

「25歳で2人の子供ってすごいよね」

とかなんとか言ってたら、

 

「昔のバイト先の知り合い達ももう28とか29とかだから、もう結婚とか出産したりとかしてもおかしくないんだよね」

という話になり、話題は完全に結婚のことになった。

 

私は頭の中で、「今すぐ結婚しましょうか!!」ばっかり考えてたけど、必死に理性を抑えて、冷静に対応した。

 

 

 

 

「理想のプランとかある?」

 

 

必死に私の話にならないように先輩の周りの人達の話題にしていたはずなのに、私の話になってしまってびっくりした。え、理想のプランなんて今すぐ目の前でコーヒーゼリー食べてるあなたと結婚することですけど。今すぐ籍を入れに区役所に走りに行くことですけど。2人で住む家を探しに行くことですけど!??!!

 

 

とかなんとか答えると必死さがすごすぎて引かれそうだし何より私本人が引いた。

だからと言って具体的に「25歳位までに結婚して、子供産むなら30くらいまでかしら」とかいうと、年齢がリアルすぎてこれまた結婚意識のプレッシャーを与えすぎてしまうなと色々と考えた末、先輩と出会う前から散々言ってるプラン(というよりポリシー)を言うことにした。

 

 

「30歳までに結婚できなかったらもうしないって感じかなあ」

 

 

 

先輩がへえ、と言った後、なんか急激に笑い始めるので不思議だった。

 

「大体こうやって聞くと、25歳までに結婚して、30までに子供が欲しいとかよくあるパターンを聞くんだよね」

 

 

私の理想はまさにそれだよ!!よくあるパターンですよ!!結婚するならそんな感じがいいわ!!!若いうちにドレスも着たいし、年取ってからの子供は体力的にしんどそうだし!!!!「夢♡」とかいう頭お花畑理論を差し引いても、めちゃくちゃ現実的な理想のプランだと思いますけど!??!!

 

という興奮する脳内をステイさせて、「あ、私の理想もそんな感じですね〜〜」と余裕ぶって答えた。多分息は荒かったと思う。たぶんね。

 

 

 

「ただ、もちのはぶっ飛んでたけど」

 

 

「えっ、なんで!?」

 

 

超考えた挙句の結論だったのに、何故そんな事態になってしまった!?!!

 

 

「理想のプランっていってるのに、なんで最悪のパターンを考えて言っちゃうんだよ笑」

 

 

たしかに!と爆笑したものの、ハッとした。私が「妥当」を選んだのに、それは他人にとって「最悪」のパターンだったのだ。それくらい私は、放っておくとマイナスの方向に行きがちなのだ。他愛ない会話の中で学ぶことが多い。

 

 

「でも、その理想のプランを実現するためには逆算して、23くらいにはもう出会ってなきゃいけないんだよね」

 

と、いかにも理系的な意見を言われた。が、わかる、超わかる。わかるオブザイヤーノミネート。それ、女の中で結婚について話すと1回は必ず話題になりますから。大学時代、死ぬほど色んな友人と話しましたから。ただ、23の今になってより現実味が増してはいますが。

 

 

23の今、私は先輩と出会っているわけで、なんならさっきから言ってる通り結婚したいとも思っているわけで「じゃあ私の理想を叶えるためには先輩と結婚ですね♡籍を入れましょう♡区役所はあっちですよ♡」

そうやって答えたい。でも答えたらそっちは区役所どころか地獄行きの門になってしまう気がする。だから、またもや無い頭を必死にくるくる回して(これを空回りという)、「たしかにそうですね〜じゃあ先輩はどうですか?」という、同意と質問返しのラリーで終わらせた。

 

「んー、特にないっす」

 

 

「えっないんすか!?あるのかと思って聞いてきたんかと思ったのに!!?」

 

 

このやろう〜〜〜〜!!!????さっきまでの私のくるくる空回りを一瞬で叩き切りおって!???!!

 

そのあとは先輩の話にはならなくて、世間一般的な話になったりした。

年上の男と年下の女の組み合わせが多いから女の子の方が結婚は早いよね、とかそんな感じのなんとか。

 

あまりにも結婚の話が続くから、テンションが上がってきた私は、結婚願望あるんですか、って聞いてしまった。これであるっていうんなら私も乗ろうかと思ったから。あわよくば区役所デートでもしようかと。

そしたら、「んーどうだろうね」。

 

 

危ねえ〜〜〜〜聞いててよかった〜〜〜〜一人で大怪我するところだったぜフゥ〜〜〜〜!!!!!

 

だから私は前にも先輩が言ってた、「結婚に向いてない」話を始めた。

 

私は一人の時間へのこだわりが人一倍強いと思う。旅行なんてどんだけ仲良い友達と行っても、長期間常に誰かと一緒は本当に辛い。幸い、私の周りに「私もついてっていい?」とか言うタイプの子がいないので、助かっている。

数分でもいい。数分でいいから一人の時間が欲しい。

 

それに、喜怒哀楽が激しく、非常に気まぐれなので相手に合わせてあれやこれ、、、なんて生活は死んでも無理。勿論譲歩は必要なことくらい分かってるし、何も我を通しまくるぞ!!!と言うわけではない。が、理解はしてもらわないと困る。

さっきまで機嫌が良かったのに、すぐイライラするとか良くある話。人に当たることはしないけど、態度には出てしまうので、あーまたか、と流してもらわねばいちいち喧嘩になるしストレスになる。

そんなの理解してくれる人なんていないし、面倒でしょうがないと自分でもわかっている。

 

だから、私は自分自身が結婚に向いてないとはっきり断言することができる。子供も好きではないし(つーかむしろ嫌い)。

 

 

「私、前先輩も言ってましたけど、本当に結婚生活向いてないと思うんですよねえ」

 

わかる、くらいの反応で良い。

前先輩も言ってたし。だからこそ言おうと思った。

それくらいの反応で、さっさと違う話に移ろう。もう、結婚の話はやめましょう!!

 

 

「まあ、向いてないと思うのは俺もだから。向いてない同士だったら、分かり合えるからうまくいくでしょ」

 

 

 

えっはっえっ!!???えっ!!??、それはあのつまりえっ!!!???

 

…………プロポーズやん????(違う)

 

 

 

薄々感じてはいたけど、やっぱり私との結婚考えてないわけじゃないな?

確信を持った。前からずっと思ってはいたが、あくまで願望寄りの予想だった。

 

でも状況的にそうでしょ。

この流れだよ。

そうとしか言いようがないよね?

 

 

…頭お花畑かもしれないけど、今だけはそう思わせて欲しい。

 

 

そんなこんなで、今まで伺った既婚者・同棲中の家の話になった。

どこも寝室は一緒だった。私たちはお互いに寝室が別という条件だけは譲れない人間なので、あれらとは違う家を探さないとねって。

 

じゃあ2LDKくらいかあって話してたら、いきなりスマホを取り出して、「川崎で探してみよっか」って。

 

 

 

は!???!???私が言うならともかく先輩が言うの!!???エッ何!?同棲そこまで検討してるの!!??(多分違う)

 

 

2人で(住むわけではないが)物件を物色している時は本当に本当に幸せで爆発するんではないかと思った。

 

 

そのあとTwitterにタイムリーに回ってきた「同棲前チェックメーカー」的なのを2人でやってみたら、部屋が整理整頓されているか散らかりがちか、というところだけ両極端に分かれた(勿論私が散らかり放題)。あとは大体同じだったのに、

「あ〜これはダメだなあ笑」

とか言ってくるので、歩み寄ります!!悪いところだしなおしますよ!!と詰め寄った(必死)。

 

 

察して?女が嫌いらしく、そうではないです、むしろ理由を言っちゃうし全部態度に出ちゃうタイプなんで………と言ったら

「知ってる笑」と笑って返された。

 

 

 

カフェの中での会話は、ほぼ結婚と同棲の話しかしてなくて本当に楽しかった。頭わいてんなあ笑

 

 

 

2日目、私の家から先輩の家に移動し2人でゲームしたあと、キッチン解放の儀を行なった。

スーパーに行って調味料やらを買い込んだけど、先輩の「なんか同棲みたいだね」の言葉にすっかりころされてしまって、あまり記憶にない。

先輩曰く、私と先輩の家を合わせて「私の寝室まで徒歩10分の2D2K」という状態らしい。不便にも程がある。キッチン2つもいらんやろ。

そしてこれから週一で先輩の家でご飯を作って一緒に食べることになった。

最初迷惑かと思って先輩の出方を伺っていたのだが、そうでもなかったようで決まったらすんなり決まった。私の家のより狭いキッチンを改造するのに今は先輩が色々と考えてくれている。

 

「家を選んだ時はキッチンなんてどうでもいい、どうせ使わんから、という視点でしか見てなかったからなあ。まさかこうなるとは笑」

そう笑って、皿を洗ってくれていた。

 

 

寝室まで徒歩10分の2D2K生活、これを同棲と取るかは知らないが(多分取らない)、これから楽しんでいきたいなあと思う。

 

 

 

 

夜、超絶ノリで「籍入れて欲しい〜〜」と言ってしまったが、「俺は別に入れてもいいと思ってるよ」と返ってきて笑ってしまった。「プロポーズされてしまった」と言っていたが、プロポーズだけは受け身で行きたいかな!!

 

6

なんで私は大学のスタジオが終わってからもこうして細々とブログを書き続けるのか。別に人気ブロガーでもなんでもないし、それで収入が得られてるわけでもない。それでも、こんな自己満ブログをなぜ続けているのか。

 

私は自己顕示欲が本当に高い。自分でもそれは自覚している。だからこんなブログを書いているんだし。

それは大きな理由ではある。でも、これが答えではない。ずば抜けた自己顕示欲があって、自分語りが大好きで、話すのも大好きなんだけれど、人の前でいざ話そうとすると、話したいことの大半を話せず終わる。「私」としての話ではなく、「一般論」に落とし込んで話をする。

 

多分大人になるにつれて、皆そうなんだろう。個人的なエピソードはもちろん話すとしても、やっぱり最後は「皆」の話になる。私が私が、と話しても許される時代は、もうとうに過ぎてしまった。

 

でも、それだと私の高すぎる自己顕示欲は満たされることはない。自分の意見を、思いを、境遇を、どうにかして言葉にしておきたい。誰も聞いてなくてもいい、でも誰かが聞いてるかもしれない、特定の誰かに向けてではない、路上ライブのような形で私はただ自分のことを叫びたい。

その欲をほどよく満たしてくれるのがブログだった。大学時代にこの欲の満たし方を知った私は、そうやすやすと手放すわけにはいかなかったのだ。

見られているかもしれない。でも別に誰にも見られなくてもいい。自己満でいいから、世の中の片隅に吐き出させてほしい。だから私は、この欲が尽きることがない限り、なんの足しにもならないブログを続けていくのだろうと思う。

 

人に自分のことを面と向かって話すのは怖い。拒否されたらどうしよう、間違っていたらどうしよう。あらゆる不安が自分を襲うから。だから私は人と話をするときはいかに面白く話してごまかして、核心を突かれないようにするか、に全力を尽くしている(無意識のうちに)。だって自分の話で不快になってほしくない。時間を使ってもらったのに、つまらないなんて思わないでほしい。

 

 

 

──私を否定しないでほしい。全てはここに集結する。

自分の好きなことについて、自分の幸せについて話すのはより恐ろしい。それを否定された途端、自分を否定されたかのような錯覚を起こすから。故に自分の幸せについては、こういうブログだったりTwitterだったりで吐き出すのがメインで、面と向かって話すのは親がほとんど。友人に話したとしても、やっぱりそのうち怖くなって、話題を変えたくなる。それは昔からの私の癖で、多分今更どうしようもない。皆もそうなのかな。

 

でも、彼女は違った。自分の話が大好きだった。自分の幸せについてどんどん話すタイプだった。私とはまるで正反対、それが私の元親友だった。

 

 

 

 

 

 

彼女とは高校一年生の時同じクラスで、出席番号が前後で。しかもお互い嵐が好きだってことが入学式で発覚して、高校入学後初めてできた友達だった。

最初の印象としては大人しくて真面目な子だった。現に、クラスで過ごしたグループは違ったし、教室内で話すことはほぼなかった。2年からは理系文系別れてしまったから、完全に校内で話すことはなくなった。

当時は、メールだけが私たちの連絡手段。互いに部活も違ったから、休みのタイミングも違って。でも、定期テスト後の部活がない土日のどちらかで、どっちから誘っていたのか2人でカラオケに行った。嵐の歌を歌えるのはお互いしかいないよね、なんて言って一年に2,3回くらい。それが高校3年間の私たちの過ごし方だった。

 

 

高校卒業の春休み、最後かなあといつものカラオケに行ったときだったか、あるいはメールだったかで、双方が別の大学とはいえ関東に行くことがわかり、あっちでも遊べるね!なんていって。

 

大学入学後も、2人で会うことになった。最初は高校時代のようにカラオケに行くくらいだったが、そのうちあちらの家に泊まるようになった。泊まるくらいになると、やはり話す内容も幅広くなるわけで。

最初は趣味の話くらいしかしていなかったのに、そのうちに思い出、自分の半生、恋愛…友人とよくする話をするようになった。互いにしか言ってない話、言えない話ができるようになった。

今思えば、ここがすべての始まりだったのかもしれない。あくまで趣味だけの繋がりだったなら、こんなことになることはなく、それなりの仲で続いていたかもしれないのに。

 

 

そんな感じで色々と話すようになるにつれて、少しずつ違和感を抱くようになった。というより、彼女を知って、彼女が私を知って、歳をとるにつれて「女」の部分がお互いに目覚めてきて、最初は一致していたかのような2人の性格の歯車に、歪みが生じてきていたのだろう。

 

でも私はそれを見て見ぬ振りをした。初めてできた親友のような彼女に限って、そんなこと有り得るはずがない。何より、親友を失いたくない。だからこれはきっと見間違いだ、私の考えすぎだ。そう言って、私は何もしなかった。

 

そのうち、彼女が私と匹敵するくらいのプライドの持ち主ということを知り、またかなりの自信家ということも分かるようになった。最初の頃は知らなかった彼女の一面。仲良くなったからこそ知ってしまった一面。それくらいで別にどうってことはなかったが、いよいよ私に危害が及ぶようになった。

私の一挙一動を上位互換して話してくることが目立つようになった。例えば○○したら面白いって言われて嬉しかった、とTwitterなんかでいうと、彼女もそのすぐ後に、**したらおかしい人扱いされた、と呟くといった具合(例えが素人の卓球並みに下手)。

最初は私の考えすぎだと思った、思いたかった。でも偶然とはいえないくらいの頻度でされて、だんだんと鬱陶しさを感じるようになって。

 

私と比較してくることが多くなった。遠回しではあった、でも、プライドの高い私はそういう私見下されセンサーが敏感に出来ている厄介女なので、気づいてしまった。

毎度毎度何回も聞かされている話をループされた。例えば男に声をかけられた話、ホテヘルやチャトレのバイトで男に気に入られた話をされる………もううんざりだった。一度くらいなら別になんとも思わない。そうなんだ、で終われるのに、暗記できるほどに聞かされればこちらとしても流石に拒否したくなる。

「前もそれ言ってたね」と言っても、効果はなかった。相手は話したことを忘れたのか、目的はなんなのか、私にはもう答えを知ることはできないが、とりあえずいくつかある幸せエピソードを壊れたラジカセのように私は聞かされていた。遠回しに、「私はお前よりモテるのだ」と言われるのがしんどくてしんどくてたまらなかった。

 

知っている。私がモテないことなんて痛いほどに。人様から教えていただかなくても知ってるんです。人の傷を抉らないで。私はそれでも必死に生きてるんです。頑張って、それなりに、一人でも生きていけるように。それなのに、そんなにコンプレックスを刺激する真似しないで。私が死ぬほど彼氏が欲しかったとき、ちょうどあっちが中学生の同級生から連絡が来てる、とかいう話をしてきて、心が色々と凹んでいた私は「いいなあ、彼氏も私よりすぐできそうだよね…」なんていつもなら言わないようなことを言った。そしたらスイッチが入ったかのように自分の話を始めて、まあ峠野もできるよ〜(ちなみに彼氏ができたわけではない)って上から目線で行ってきたの、私忘れてないよ(根に持つタイプ)。

 

というより本音は、そんな雑魚レベルのモテ方で私にマウンティングかますな、と思っていた。

 

白石麻衣のように綺麗な女の子に、男から死ぬほど貢いでもらった話を聞かされるなら、まだ平気だった。だってまいやんだもん、そりゃ男がほっておかない。もうそんなの羨ましいを通り越して尊敬。見下されてもしょうがない。どうぞその綺麗な御御足で私の頭を踏み付けてくださいませ、と言えたわよ。

 

でもそんなにかわいいわけでもない、まして垢抜けてない女の子にワーワー耳元で騒がれたら「てめえ黙ってろ」としか思えないわけで。無心で「へ〜〜」という気力もどんどん尽きた。

 

一番多かったのは外見やら男関係のことだったけど、学歴も職種も日頃の過ごし方も何もかもが比較された。大学は私はご存知(?)あの森の中の大学だけど、彼女は私立の農業系。正直理系文系で比較なんてできないし、Fランと東大早慶とかでもない限り比較は難しいと思っている。

それなのに、遠回しに私の大学を馬鹿にされていた。言葉で、というより態度でと言った方がいいか。理系と文系ってこともまずかった。

レポートそれなりに大変だったし、毎週の課題もあったし、バイトも私なりに必死こいてやってたのに、「テスト週間とか楽そうでいいよね」とか、「文系は書くだけだもんね?」とか言われてみろ。いうてお前農業系だろ。しかもサークルもバイトもしてない暇な女子大生だろうが。テスト勉強し放題だろうが。中途半端な学歴で中途半端な学歴の私を見下して楽しいのか!?と、当時は腹わたが煮えくり返っていた。

一番本気で後ろから一発殴ってやろうかと思ったのは、私のスタジオ・ゼミでやってたことをいかにも簡単そうだと言ってきたこと。いくつか言われたが、私の卒論のテーマについてとか言った時だったかに言われたのは、「そんなことやってるんだ!楽しそう〜私だったらもっとやばいの書けそうだな〜〜(本当にこのまま言った)」。

 

後半のひとこといる!?楽しそう〜〜で終わればよくない!?お前やってること理系のことなんでしょ!?犬とか動物系と触れ合うゼミなんでしょ!?こっちは答えの出ない人間の闇(笑)と触れ合ってたの!!犬と人間だよ、対象は!!比較できるわけないしお前の知識はこっちに流用できるものでもないの!!私の知識もそっちでは犬の餌にもなんねえし!!うるせえから黙って犬にお手でもさせておけ!!お前の学科何しとったんか知らんけど!!!!

 

 

就職後、彼女の仕事は職場の人数が少ない故にどうしても残業が多くなってしまい、毎日大変そうであった。車や自転車で客先に回って、客先から検体を回収するような、身体を使うことが主な仕事。日曜祝日は固定休だけど、もう1日の週休は水曜が多く、シフト制だから好きな日には取りにくいらしい。

一方の私は、残業を10月まで許されず、肉体より頭を使うデスクワークのSE。土日祝が休み。

同じ職種ならまだしも、全く互いに違う職種。それなのに、彼女はこれについても比較してきた。

 

そうそう、比較して私の方が優れている、というだけではない。「私の方がかわいそう」「私の方が大変」と、悲劇のヒロインぶる一面も彼女にはあった。

 

だから、私の方が仕事大変、仕事頑張ってると遠回しに言われ続けた。あのな、お前だけじゃなく私も、そして私の周りの皆も、仕事は頑張ってんだよ。大変なんだよ。それぞれ違う種類の苦労があるんだよ。なんでそんな簡単なことも分かんないんだ?苦労してない人間なんてほぼ皆無だよ。

一度ならまだしも、会うたびに打率9割レベルで言われたら「じゃあ辞めたら???」と言いたくなった。つーか一度言った。でも効果はないというか、寿退社って形で辞めたいとかほざいたので、もう知らんがな………というしかなかった。じゃあさっさと結婚しな。それくらいしか言うことはない。

大変なのは痛いほどわかったし、最初は私だって労ったりもした。でも、毎度毎度言われたら、じゃあそんな大変な中で遊びに行くの嫌だったか?とか色々邪推してしまった。お前は知らないだろうけどさ。

 

 

そんな感じで、何度も何度も繰り返し比較されたら、私の心も疲弊してしまった。だから、本当にこれは反省点なんだけれど、私の負けず嫌いなところが発揮されて、私も比較するようになってしまった。そのうち相手を見下すようにもなっていた。社会人になった頃には、完全に私は彼女への尊敬の念を1ミリたりとも残していなかった。

もうこの時点で、薄い氷の上でなんとか成立していた、そんな危うい友情だったのだ。

 

だからきっと、彼女は私のことを「比較してくる」「張り合ってくる」「自分に自信がある」と思ってるんだろうな。たしかにそう。でもそれは、私は貴方の真似をしただけ。大人気ないけど、やり返していただけ。私は自分に自信があるどころか、皆無に等しいから。

この高く脆いプライドが傷つかないよう、彼女の前では虚勢を張った。プライドを何重もの鎧で包み隠した。彼女の比較にはなんの関心のないフリをしつつも、たまに私の方が上だと言わんばかりの爆弾を投げて。毎日が攻防戦。プライドとプライドの合戦である。私も変に敏感になってしまって、小さなことでも気になっていた。でもそれが笑顔に隠れて行われていたのだから、本当に今考えても恐ろしい。

 

 

でも彼女の不思議なところは、具体的な数値やらを断じて言ったり聞いたりしないところだった。仕事の上下を測るなら給料を聞けばいい。モテるモテないを測るなら今まで告白された人数でも聞けばいい。でも、一切それらに関して聞かれることはなかった。私も比較されるのが嫌なので聞くことはしなかったし(まずこれらに関して興味がそんなにない)。

 

 

 

 

そして、ついに薄氷が割れるときが訪れた。

 

 

私に彼氏ができてしまった。

本当は、言うつもりはなかった。今の関係が崩れるのが怖かったし、比較されるのも嫌だったし、彼氏についてあれこれ聞かれて評価を下されるのが一番嫌だったから。

でも、好きな人ができた話を流れでしてしまった手前、結果を報告しないわけにはいかなかった。

これは余談だが、先輩のことが好きになった時も、私が勇気を出してLINEしたりしている話をしたら、「よくそんなにグイグイいけるね〜!私だったら相手に言わせちゃうなあ」という一番嫌いな女のタイプのようなことを言われた。

これは私の心が汚れきっているからかもしれないが、この時の言い方・顔を見ると、「自分から動かないと相手にしてもらえないんだー」という皮肉が入っている。

 

先輩と付き合うことになりました…と報告した時の、一瞬曇った顔が今でも頭から離れない。確信してしまったから。そうか、やっぱり「そう」思ってたんだなあって。

見下していた私が先に彼氏ができるとは思ってなかったんだろうなあって。だから悔しくてたまんないんだろうなって…こうなるのがわかってたから、私は言いたくなかった。

逆の立場だったら、私も複雑な気持ちだっただろうから。彼女に彼氏ができたと言われたら、祝う気持ちより先に、さらに見下されるんだろうなって気持ちになるだろうから。さらに、これだけボロクソに言いましたが、私の中ではやっぱり特別だったので、そんな友達という関係に収めるには難しい彼女に彼氏ができる、というのは盗られてしまったかのように感じてしまっただろうし。お互い彼氏がいなかったのに、1人だけ別世界に行ってしまったかのようにも思うだろうし。色々と思うことはあるだろうから。

 

 

だからもう、先輩の話は彼女の前ではしないように決意した。聞かれたら答える程度に留めた(その分ここでアホみたいに言ったけど)。私が逆の立場だったら、彼女から彼氏の話を毎回聞かされたら多分翌日布団から出られないくらいのダメージを食らうと思っていたから。一応色々と彼女のことを考えて行動をした。

 

 

 

それなのに、どうしてこんなことになったのだろう。

いや、これはもう、必然だったのかもしれない。

 

 

 

 

2人でずっと趣味のイベントやライブに行き続けていた。少し前に2人の推しのイベントが決定して、これは2人で行くしかないね、と盛り上がった。

私はもうそのつもりでいた。2人でって。2人の推しだけなら、もうそれは私たちのためのイベントだなって。

 

でも、彼女は違ったみたい。

 

というより、私に彼氏ができてから明らかに彼女は私に対する態度が変わった。比較が本当に洒落にならないレベルで増え、嫌味も言うようになった。私は生憎(?)先輩大好き!な気持ちがプライドをいつも勝手に守ってくれているので、そこまで傷つくことはなかったが。

前まで連絡も頻繁に取り合ってたのに、あまり取らなくなって。とはいえこれは連絡を取らなかった私にも原因があるね。

 

だから、今まではイベントの申し込みも事前にいつ申し込むかとか相談の連絡が彼女からきてたけど、今回は連絡がなかった。でも私の中では、2人で行くしかないね!という彼女の言葉が、約束だったので、普通に2人分申し込んだ。

これが過ちだったのか。

 

結局彼女は、私と行くことより、昼夜両方のイベントに行くことを選んでいた。

私に一言の相談もなく。私の見えない形で。

それが私には、彼女からの裏切りとしか見えなかった。

ああ、私を選んではくれないのか。

私はそのイベントに行くかどうかなんてどうでもよくて、「2人で」行くことに意味があると思っていたのに。

そうか、そう思っていたのは、私だけだったのか。

 

 

本当に些細なことがきっかけだ。こうやって文章にするのも恥ずかしいくらい。学生時代にする喧嘩レベル。お互いに連絡をすれば、こんなことにはならなかった。

一言確認するだけだったのになんでできなかったんだろう。

私は、ただあっちからの連絡を待っていたのだ。

彼女が、連絡という形で、私を必要としていることを証明してくれると信じていたのだ。

 

 

それを、いともたやすく裏切られてしまった。

 

 

ボロクソ書いたけど、これはこんな形になったから今まで我慢していたアレコレが溢れ出ているだけであって、こうなる前は(色々思うところはあれど)やっぱり大切な親友には違いなかった。

親友に必要ないとされることが、どれだけ苦しいか。酷なことか。人に対する執着心が強く、また裏切られた経験がある人間にしかわからないこのどうしようもない空虚感。やり場のない怒り。

 

 

それに追い打ちをかけるかのような、彼女からの言い訳。

正直、吐き気がした。一気に彼女が人に見えなくなった。言い訳をする前に、一言謝ってくれたらまだこの怒りを鎮められたと思う。でも、彼女は言い訳を、私はこう思ってこうして………とつらつらと並べて。そうしてからようやくごめんね、と言われた。

 

 

 

なぜ、順序を間違えるの。

 

 

 

 

 

いや間違えたんじゃない。彼女にとっては、それが正解だったんだ。

 

 

 

ぷつん、と何かが切れた音がした───というのが過言ではないほど、私の中で何かが切れた。

 

 

その途端今まで我慢して、見ないふりをして、ごまかしていたあれやこれやが私の中で一気に崩壊した。

そして薄氷にもピシリとヒビが入る。

 

 

 

多分、まだこの現況に耐えられる私だったなら、ごめんねと言われた時に「いいよ」なんて言って許せた。というより、道徳的にも許すべきなんだろうなとは思う。

 

 

でももう限界だった。

私の心がもう受け付けない、と拒否をした。

これ以上彼女といたら、自分が壊れてしまう。………悲痛なSOSだった。

 

 

 

 

逆の立場だったなら、私がもし彼女と同じ行為をしたなら、彼女はきっと私と同じように怒った筈だ。泣くだろうな。

私はそうやって、いつも逆の立場だったなら、というIFを考えて行動してたのに、彼女は人の気持ちを考えることすらしてくれていなかった。

 

 

 

思えば、私は彼女に欲を言ったこともなかったなあ。

彼女は○○したい、というのを、これまた遠回しに「○○の方がいいと思うけど…どっちでもいいよ」と言ってくる女の子だった。それならはっきり○○がいい!って言ってくれる方が幾分も楽なんだけど。でもこれはきっと彼女なりの気遣いだったのか。

でも私は○○したいと言ったことがなくて、彼女のしたいことに付き合うという形だった。彼女が○○がいいなあと言ったら、私も○○がしたい、と言って合わせてた。

それは苦ではなかったから、寧ろ楽だったからそうしてた。

 

 

彼女が話したことは覚えてるんだけど、私が何を話したか覚えてない。というより、私は私の話を自分から話していなかった。

彼女から聞かれたら答えるのが常だった。

彼女は、私の話を聞くときの反応が乏しい。感情は豊かなはずなのに、私の話すターンになると、どうしてか「早く終われよ」という気持ちがなんとなく伝わってきて、話すのも手短にした。その分、彼女の話の聞き役に回った。リアクションをちゃんとした。

私は自分が話してる時に相手のリアクションが薄かったり面倒そうだと不安でしょうがなくなってしまうから。その気持ちにはさせたくなくて。見下されながらも、何度聞いた話であっても、ちゃんとリアクションをした。たまにしんどくて聞こえてないふりをしたこともあったけど(どっちやねん)。

 

 

ともかく、私のことを思ってくれてなかったんだと、私は彼女にとってのなんだったんだろう、私だけがこんなにも苦しいのか、あらゆる感情がぐるぐると渦巻いてしまった。

 

 

私たちは似てるところもあって、何年もいるうちによく同じ動きをしたり、同じタイミングで同じことを言ったり、ユニゾンすることが増えた。それはとても楽しくて、嬉しくて、私にとっては幸せだった。きっとそれは彼女にとってもそうだったと信じたい。

それでもやっぱり根本が反対方向を向いている。どこか価値観が違う。

なんというか、大切なところで価値観が異なって、どうでもいいところで意気投合する、といった感じ。どうでもいい、きれいな上澄みだけを見て、「私たち気があうね」と言い合っていたに過ぎないのだ。

 

 

彼女のことが大好きだったけど、大嫌いなところもいっぱいあった。

大切だと思っていたけど、鬱陶しいところもいっぱいあった。

でもそんなマイナスの部分を、私は見ないふりをして、いいところだけを見ようと努めた。

彼女が「自分のことしか考えてないなあ」というような言動をしても、「まあ人間そんなもんだし、何より私がそうだしお互い様だよね」と言い聞かせた。

 

 

 

 

彼女もそうだったんだろうか。

 

 

 

書いていて涙が出てきた。

私は、ひょっとして最初から友達ともなんとも思われてなかったのかもしれない。

私も、友達として彼女を見てなかったのかもしれない。

 

 

だって本当に友達だったら、親友だったら、そういった不満もちゃんと言うんだとおもう。

それは嫌だからって拒否をするのだと思う。

何より互いを比較して見下したりなんてしないでしょ。互いに尊敬し合うものじゃない?

だって他の友人には尊敬の意しかない。それは関わりが少ないからなんだろうか?正解はわからない。

とにかく、いい意味でも悪い意味でも彼女にだけ抱いた感情が多すぎた。そしてそれが一気に弾け飛んだ。

 

 

 

 

一度無理だと思うと、どうしても再度受け付けるなんて、私にはできなくて。

 

 

 

大人気ないけれど、彼女の顔を見るのも無理になってしまった。

週末の約束も、私はいかないからと連絡して行かなかった。彼女は謝りたいからきて欲しいといっていたけど、どうせ泣いて、私を悪者扱いするのはわかっていたから。

そんなところに行ってしまったら、永遠に彼女を許せなくなると思った。そして自分を不必要に責めてしまう、と本能が行くことを拒否した。

 

 

 

その後、彼女の態度が豹変し、本性が見えてしまった。

私の限界がきて崩壊しフィルターが外れてしまったからなのか、彼女が自ら見せてきたのかは分からない。

最初の言い訳なんて可愛いもんだった。

彼女はあろうことか、自分はちっとも悪くない、という態度に変わっていた。

 

 

恐ろしく思った。もちろん、私は彼女だけが悪いと思っていたわけではなく、私にも反省点はあると考えていた。

でも、全ての発端は彼女の裏切りにあったわけで。それすらも私にあるのだと言い始めた。

 

ここでようやく、彼女の世界には、私は存在しなかったのだということを痛感した。

悪いように言えば、私は彼女にとっての都合のいい存在だった。

 

彼女の言い分は、時系列がバラバラで、私の言ったことも改変、自分の言ったことまで改変されていて、何が真実かわからないほど。

自己保身にもほどがあった。

私も自分が大切だし、自分を守るために必死になることはある。それが人間。でも度合いってものがある。嘘は流石につかない。悪いことは悪いと認めるのが常。

 

 

でも、彼女は違ったのだ。

自分が悪くないことを証明するためには手段を選ばない。

自分が大好きで、自分しかいない世界で生きている。

そして何より、そのことに彼女自身が気づいていない。

 

 

 

それが、私が行き着いた最後の彼女の結論だった。

 

 

 

最後はもうなんだか何を言っても通じないようだったので、精一杯の反撃として刺々しい言い方のLINEをしてさようなら。

彼女は、その後Twitterで私のことを新型うつ扱いしてくる様。

 

 

呆気ない。こうも人間関係の最後は呆気ないものなのか。7年間の付き合いがたった7日間で幕を閉じた。いや、本当は7日間じゃない。大学4年間という長い期間をかけて、構築と崩壊を同時に起こしていたのだ。

 

 

 

私がここまで言っているのと同時に、彼女もきっと私のことを誰かに伝えているのだと思う。それはいい。でも、それは彼女の世界で歪まされた私であって、私のことではない。

それを間に受けて、どこかの誰かが私のことを責めていると思うと、どうしようもなく虚しい。

 

あれだけ大好きだったのに、あれだけ大切だと思っていたのに、目が覚めて冷静に考えたら、残酷なことしか残っていなかった。

知らない方が良かった真実。ボロクソに言った部分の大半は、こうなる前の私はほとんど見て見ないふりをしていたこと。

私は彼女の世界で踊らされていたに過ぎない。

 

 

こうやって冷静に文章にすると、気持ちが整理されると共に、昔の辛かったことと同時に楽しかったことも思い出して涙が出る。

見ないふりをしていた方が幸せだったんだろうか。

というより、この文章で書いている彼女についても私が私の世界で見ているだけで、本当に悪いのは私ということはあり得ないだろうか。

私が間違っていたんだろうか。

本当は、彼女を傷つけていたのは紛れもなく私で、自己保身に走ったのも私なんだろうか。

私の世界に彼女は存在していたのか。

もう何もわからなくなっている。

 

 

彼女は私のことをいつまでも責めるんだろうし、私のことをこれから好きだと言ってくれることなんて一度もないんだろう。

こんなことを考える時点で、やっぱり我慢しておけばよかったんだろうか。

 

 

 

悲劇のヒロインぶってるのは、私なのか?

もう、何もわからない。

私は本当に病気ではないのか?

もう、正常と異常の境界線なんてわからない。

一つだけ確かに言えるのは、良くも悪くも私の人生において影響大の人物だったということだけ。

 

 

私はなんなんだろうね。考えれば考えるほど、もうわかんなくなっちゃったな。

 

 

 

 

5

本当に自分の性格の悪さにドン引き大セール中なんだけれど。そろそろ我慢の限界がきたというか。吐き出してしまいたくてどうしようもない。自分は性格がクソだってのはネタじゃなくてガチ。本当にこれもどうしようもない。嫉妬は日常茶飯事、自分が良ければそれでいい。人間そんなもんかもしれないけど、とりあえず私の性格は良くない。別にこれに対して、周りの同意も否定も必要ない。歴史上の事実に「それな」も「それはないわ」もないだろう。それと同じだ。

 

 

でも、完全に根っから腐ってるわけではなくて、一応ギリッギリのところでは、人間的な部分が何とか自我を保っている。

「こんなこと言ったら傷つくよな」と他人を思いやる気持ちが一応存在する。

まあそれも、突き詰めれば「私嫌われちゃうな」に集約されるわけですが。自己保身。自分が一番。なんだかんだ自分が嫌いでなんだかんだ自分が好き。

好きな人からは嫌われないようにこれまで努めてきたし、きっとこれからもそうしていくつもりだ。

 

 

嫌われないように私が意識してやらないようにしているのは、マウンティング。

多分人間ってのは無意識に他人と比較している生き物だから、油断をするとその態度が滲み出る。「私お前より上だから」という態度が、透けて見えるようになってしまう。

でも、みんなそれを我慢してる。本当は自分が一番なのに、嫌われたくないしそれが普通だから、「自分が自分が」という感情は奥にしまっておく。1人になったらこっそり取り出して、「そうね、私ってすごいよね、私が一番よね」と自己肯定感をヨシヨシと可愛がる。それがきっと(私の)理想的な生き方だ。

 

 

そもそも人から見下されるのは不愉快だ。みんなきっとそうだろう。人生でされたくないことランキングのトップ3に間違いなくランクインする。私にとってはそれくらい不快極まりないこと。だから嫌われたくない、好かれたい人間相手にはそんなこと死んでもできない。

 

それなのに、私が好きな人間が、私に対してそれをしてくることがある。

もう辛くて腹立たしくてたまらない。

私が一体何をしたというのか?

人生めちゃくちゃ上手くいってます!!!ウェイウェイwwwwとは程遠い、私のようなグチグチした人間と比較して何が楽しい?

底辺より少し上だと自覚するだけで満たされる自尊心でいいのか?

どうせならもっとキラキラした上の人間と比べて、「やべ〜!こいつより私ギラギラしてんじゃん!ギンギラギンにさりげなく生きてんじゃん!超マッチじゃん!!」って、自分を肯定してあげた方がよくない?

 

まあどちらにせよ、私の方が上!上!あんたには負けないんだから!!と対抗心をメラメラ燃やしては其処彼処に着火させる放火魔の人間は、側から見ると痛々しくてしょうがないことには変わりないんだけど。

 

 

私は、可愛いと言われることが何回かある。でもそれはあくまでお世辞、社交辞令であって、別に私はそれを「フハハ聞け私は可愛いのだぞ」と、自分を肯定する材料に使ったことはほぼない。あまりにも自己肯定感が死亡している時、非常食として使用したことはあるが。

 

ただそれを間に受けてなのか?「私もよく可愛いって言われる〜」と私にいちいち報告してくるお前は何だ?????社会人になって報連相をしっかりとしているつもりなのか???対象が私ってどういうことだ???私はどう対応したらいいんだ????「そうだね〜可愛いもんね〜」とありきたりな言葉を待っているのか?????それでいいのか?????知ってると思うけど私はお世辞は死んでも言わない人間だよ????可愛いと思わないものに可愛いなんて言いませんよ???それでもいいの???

 

と、最初は確か外見だった。

「私たち可愛いもんね!」と私と一緒くたにしてよく言うようになった。確かにいつもと違う格好をしているときはそう思ったから、それにノッたりして。でもきっと、「私たち(とは言ってるけど私の方が)可愛いもんね!」って思ってるんだと思う。

だって、私が(お世辞とは言え)可愛いって周囲に褒められたことを断じて認めないんだもん。私は別に「可愛いって言われた」っていちいち言ってるわけじゃない。言ったとしてもTwitterであくまでネタ的に言ってるだけ。

共通の知り合いだったり、あっちの一方的な知り合いがLINEのアイコンとかを見て言ったりしてるらしい。それを聞いて「可愛いって言ってたよ」と私に報告してきてくれるけど、私は何と反応するのが正解なのか?永遠の謎である。

その後、「私も言われたんだよね〜」が必ずハッピーセットのごとくついてくる。いやよかったね、知らんけど…だから私はなんて言ったらいいの?「私より君の方が可愛いもんね!」って言ったら今後こんなこといちいちしてこないなら言ってもいいんだけど、きっとこれからも報告し続けてくるだろうから、思ってもないことは言いません。どっちが上とかないから。

もうめんどくせえから、LINEのアイコン私がかなり写り悪い奴に変えていいよ!!!!むしろ自分だけの写真にしたら!!????

 

少し前、この態度に気がついた時、めちゃくちゃにショックだった。まさか、私の大切な友人の中に友人相手にマウンティングをするなんて思ってなかったから。

 

それから、外見だけでなく、性格や日頃の言動など小さなことまでも張り合われるようになった。

ごめんね、外見やらなんかそこら辺のものは「ふ〜〜ん」で済ませられるけど、性格のうち「面白さ」だけは私の右に出るものはいないと思ってるから。そこを私と張り合おうだなんて思わないでね、悪いけどここは私の縄張り。プライドが許さないからな…と願っていたら、とうとうこの領域にも足を踏み入れてきた。

 

流石に我慢の限界がきた。

 

ずっとずっと、細かく張り合っては私と対等もしくはそれ以上だという態度を見せつけられて。

私が本当に男にはモテないからねワッハッハといつものようにネタのように話しているだけなのに、

同級生から連絡きてさ〜面倒なんだよね〜。

同期男だらけで、男がそもそもそう得意でないこの私が個人LINEとかするわけないのに、

同期とLINEとかしてないの?私男の同期としてるよ〜。

職場も男だらけではあるが、この私に彼氏なんてできるわけない、詰んだなワッハッハとネタ的に話していても、

同級生とこの前会って、ちょっとやばかったんだよね〜。

私がTwitterで職場の人やら友人の前でやべえことしでかしてワッハッハというつぶやきをすると、

私もやばい奴扱いされててさ〜。

 

 

うるせーーー!!!!!!!!!!!しるかーーーーーー!!!!!!!もし私より上だと思っていたいなら面と向かって言えー!!!!!!!!!!!「私お前より優秀だから」とかもうズバッと言ってきて!!!!!!!!!!そしたら遠慮なくこっちも接するわ!!!!!!「お前ゆーてそんな可愛くねえからな!!!!!!」とか言ったるわボケナス!!!!!!!!!!!!頼むから私と比較すな!!!!!!!!!!!!私とお前は違う人間なんだから全部同じなわけねーーーだろ!!!!!!!!!!!それぞれ良いところ悪いところあって当然だろーーーがそんなこともわかんねえのかぶっ飛ばすぞ!!!!!!!!!!!!!

 

挙げればきりがない。約1年前くらいから徐々に始まったこれらの態度、そろそろ本当に我慢の限界がやってきてブチ切れそう。(すでに上でブチ切れた)

これらの態度に関して私は心を無にして笑ってごまかしたり、「ほ〜〜」で済ませたりしてた。約1年間。よく頑張りました。

 

 

彼女は決して悪い子じゃない。

良いところの方が多くて、一緒にいて楽しいし、互いにしか言えない話とかもたまにする。

でも、そろそろ距離を置くべきなのかもしれない。

やはり私は、あまり他人と近くにいては幸せになれない人間なのかもしれない。

 

 

本当にこんなところに書くべき案件ではないと思ってるんだけど、最近我慢の限界。助けてください。どちらかが結婚する前には縁を切るべきなのではないか、とも思っている。本当に悲しい。これ以上露骨に比較してこないで。心の中でやって。それなら何も言わないし、それならみんなやってることだし。

 

 

 

 

 

 

こうやって、絶対に届かない場所でこんな屑より役に立たない文章を書いている私も私で大概な性格ですが。助けてください。

 

 

 

4

ふつう、自分の付き合った過程とかこんな文字で残る場で話すもんじゃないと思う。めちゃくちゃ痛いほどにそれはわかってるんだけれど、なんせ私の右手が疼いてしょうがない。厨二病なアレのせいじゃない。書きたくて書きたくて、稚拙な文章ではあるけれど、表現したくてたまらない。ということで、欲に忠実に、私はまたまた痛い女に自らなってやろうと思う。

 

まあ「あーあ、平成という時代を彼氏などできることもなく独り身で終わるのかあ」と、平成が31年で終わるわよ、というニュースを聞いてから毎日のように、それは呪文のように呟いていた、絵に描いたような「恋愛に縁のない女」だった私に。

誰よりも恋愛に執着していた、いつもいつも恋愛という概念に傷つけられて、落ち込んで、振り回されていた私に。

 

平成最後の夏(の終わり)に、彼氏ができたわけでして。

 

そんなん文章にする以外の選択肢があるわけないよね。まして私だし(誰だよ)。

しかも、妥協で急いで作った彼氏!とかじゃない。私が好きになった人。いやまだ信じられてない。

 

 

2018年9月23日。きっと私はたとえ先輩と別れようとも、何があったとしても、この日を忘れない。絶対にだ。なぜならば、第三次世界大戦レベルの歴史的な出来事があったのだから。

いわゆる記念日です。この日に私に念願の彼氏ができたのです!

 

 

とかなんとか言ってるけど、彼氏ができた!とか平成最後に!とかどうでもよくて、大好きな先輩と付き合えたってことだけでもう胸いっぱいで死にそう。幸せで死ねる。そんな感じの毎日です。

 

 

23日は、友達に相談した結果、水族館に行くことにした。正直、先輩と行けるんならどこでもええわって思ってたけど。流石に私から誘ったわけですし、ちゃんとまとめないとなと。

 

最寄駅が同じなので、13:30に最寄駅に集合した。気合いを入れすぎてこの遅刻魔の私が15分前に着いてしまったので、仕方ないので近くの商業施設内の服とか適当に見てたら、思ったより夢中になっていて、集合時間を数分すぎていた。結局遅刻。死んでも遅刻魔は治らねえな。

 

 

一緒に電車に乗って、隣に座って他愛のない話をした。何話したっけか、思い出せないくらいの他愛のない話。でも心地よかった。

 

しばらくすると、前回行った祭りの時より、沈黙が目立った。

挙げ句の果てに、先輩が隣で眠り始めて。

私は不安で仕方なかった。

やっぱり面倒だったよね、つまんないよね、やっぱり誘わなければよかったかな、ああ、脈なし説がどんどん有力になっていく。

こんなふうに一人で悶々と悩んでたら、いつのまにか私も寝てた。…お前さてはそんなに悩んでねえな?

 

水族館に着いて、入場券を購入して入場。

今日の目標は、先輩ともう一度手を繋ぐこと、あとは私以外の人とも繋ぐのかを聞くこと。

それさえできれば今日は万々歳よ。

そんな心意気で最初の水槽に向かって行った。

 

そしたら、幸か不幸か突然水槽内で結構な水しぶきが上がって、本当にオーバーリアクションが特技の私は心臓が飛び出るくらいに驚いて「うっはあ!????!??」と殉職する刑事のごとく叫んだ。マジ。小さい子何人かこっち見てた。ごめんな、ここには可哀想な女しかいない。なんもないから水槽を見な。

先輩も驚いてたけど、多分私の声でかき消されている。聞こえてない。つーか私がそれどころじゃない。

そしたら、きっとそれを見かねた先輩がまあ慣れた手つきで(言い方)手繋いでくるわけ。

やっべ〜〜入場数分で目標早くも1つ達成なんですけど。もう帰れってことか?あ?だが断る!!!

 

そんな感じで水族館回ってたら、先輩は深海が好きってことで意外と趣味があった。私は深海魚と熱帯魚がすき。あとクラゲとサメ。(どうでもいい情報)

イルカショーをやるとかいうので、ビールを片手に二人で見た。

 

そんなこんなで?2時間くらい普通に楽しんで、水族館を後にする。そうそう途中で1列になったときに手を離されてしまったので、結局30分くらいしか手繋いでない。まあ目標は達成したからね。ヨシヨシ。

 

 

気づけば17:00、胸がいっぱいでろくに昼ごはんを食べていなかった私は死ぬほど空腹だったんだが、先輩も(そこまでではないにしろ)同じだったようなので、水族館外の、先輩行きつけの(実は会社のイベントで1年に一回江ノ島に行っている)お店に入った。

 

先輩の同期が先日彼女にプロポーズした、という話を本人から聞いたので、その話に自然になった。(確か)

その流れで、先輩の同期は入社時には1人以外に相手がいたけど、そのうちみんな別れて結局続いてるのは既婚者と、そのプロポーズした人の2人だけだ、という話になって。

そこで私は聞いてみた。

先輩の元カノはどこで出会ったのか?大学?もっと前?

答えはバイト先だった。2つ上の人。あったから告白してきたらしい。

そうか、先輩からじゃないんだ、なんて少し安心する私がいた。だって先輩から告白したのなら、もし脈ありならば告白されてもおかしくないじゃない。とかなんかもう無駄にぐるぐる考えていたりして。

 

どちらから振ったんですか?

あっちから。どうやら、先輩はその元カノが彼氏がいる状態で告白されたらしい。まあやり手の女だったわけです(怖い)。だから、俺と別れるときも相手がいたんだろうなあと思うよ、ってなんかマジ怖くない?すげーよ、やっぱそんな女いんだな。

 

元カノはどんな人だったのか?

わがままだった。即答で帰ってきた。可愛かったからチヤホヤされて育ったんだろうね、と冷静に分析された。ちょっと私と正反対のタイプと付き合ってたんかマジか、無理な可能性広げてくるのやめてくれ〜〜

あとおっぱいが大きかったらしい。知らんわ。流石に私は「いや!知らん!!!もっと内面的なことを言ってくださいよ!!!私が参考にできるような!!!」と言ったけど、あれもうこれ告白じゃね?

 

どうやって付き合う過程に至ったのか?

2人でよく遊んでたらしい。あっちに彼氏がいたことは知ってたから、特に自分からは何もしなかったけど。

コラーーーさっきの私の安心を返せ〜〜(自己中)!!!

 

じゃあ、もしあっちに彼氏がいなかったらどうしたんですか?

どうだろうなあ、というか、そもそも気がなかったら2人で遊びに行かないからね。

へ〜〜そっか〜〜………って待って。ちょっとまって。今私って先輩と2人だよね。実はもう1人いました、とかそんなこともないよね。えっ何それ。それは、それは、期待してもいいってこと???

 

そこから私のスイッチがオンになる。酒の勢いを借りて(酔ってはない)、もう告白スレスレの質問をする。

 

じゃあじゃあ、同期の女の人とはどうなんですか。この前2人で飲んだって言ってましたよね、手とか繋いでないんですか。

繋がないわ笑 たまに飲みに行く程度だよ。手を繋ぐのは峠野ちゃんだけだよ。

 

本当に?なんで、なんで私とは繋いでくれるんですか。

んー、なんでだろうねえ。

ああはぐらかす!嫌だ〜〜こうやって慣れてる人はだから嫌なんだ〜〜!!!

 

元カノと別れたのはいつ?

入社して半年くらいかなあ。

 

そこから何もないんですか?誰とも?

ないよ。

 

じゃあ、どんな人が好きなんですか?

一緒に話してて楽しい人かなあ。

 

私!それ満たしてます?ていうか何が足りないですか?

満たしてる満たしてる笑

 

………これもう告白じゃんね。書いててクソ冷静になったら理解してきました。

 

そこから、先輩が逆に私に質問してきた。大学のとき、今まで本当に何もなかったの?みたいな感じで。何もない。もぬけの殻。居留守レベル。大学初期の頃、ちょっと仲良かった男子が一応いて、その人の家に行って普通に眠ったけどなーーーーんにもなかったことだけ言った。

襲われる覚悟があったの?とか言われて、いやマジでなかったです。襲われるかも、とかそういうことがあるかも、なんてこれっぽっちも思ってなくて、後から友達に怒られました、みたいなことを言った。

 

私どうしたらいいんですかね?

同期の女の人みたいに、もっとエロさを出していこう笑

いや無理〜〜じゃあなんですか、黙ってればいいですか?黙ってたらいいんですか?

黙れないでしょ?

黙れません!!!喋れなかったら死にます!!!

峠野ちゃんは可愛いんだから、そんなのすぐできるよ。

できずに23年が過ぎましたよ………ひえ〜〜〜〜〜

 

途中、牡蠣のホイル焼きとやらを頼んだんだけど、店員さんが「今からアルミホイルを破りますね」とか言ってきたんで、注目していたら「めっちゃ見てきますね。大したことしないですよ」とか抜かしてきて笑った。いやお前が今から破るっつー宣言するから見たんじゃ。見られたくなかったなら宣言すな。

「いや、破るっておっしゃるんで見なきゃあかんかなと思いまして…」って気を遣って発言した私の気持ちよ。そしたら先輩も、

「最初破ったとき、リアクションすべきかと悩みました、おーっとかいって」

悩んだの!?してよ!私リアクション抑えたんだよ!!つーかなんじゃこの会話は!!!店員コラ!!!

 

まあこんな感じで(クソ読みづらいけど)会話した。海に行きたいね、と2人で行ってたので、18:30くらい、お店に入って1時間半くらいで外に出た。

 

 

海めっちゃ暗い。容赦ない。街灯くらいつけて。こんなん下手すりゃけが人や死人が出る。なんも見えん。マジで。色の判別がつかねえ。鳥目の私には辛い。

でも、なんとなく人がいるのはわかった。わかったけどそれがカップルとか分からず、先輩が「カップルめっちゃいるな〜、俺らもぽくしようか」とか言ってきて、「エッカップルいるんですか(大声)、ぽくはいやだなあ(大声)」と答えたら、「丸聞こえだよ笑」と言われ、慌てて謝った。マジ周りのカップルごめん。ほんとマジ。

 

 

そこから2人で手を繋いだまま海辺の階段(だと思う)(見えない)に座って、暗いですねー的な当たり障りもないことを言ったら、肩に手を回された。

 

ハッ!!!私は我にかえる。

私はそんなに軽い女じゃない。本当は嬉しかった死ぬほどに嬉しかった。けど、こんな形では嫌だった。はっきりさせたかった。

 

嫌です!!!こんな形で!!!先輩、私のことそんな風に見てないでしょ!?そんなの嫌です!!!

そんな風って?

 

は〜!!!だから!まあなんていうの!わかるじゃないすか!!!

見てるよ、ちゃんと。

 

エッ待って嘘でしょ!!!絶対嘘!私のことなんてそんな風に見て………いや、じゃあちゃんと言ってください、私わかんないんで!!!

見てるって、そういう風に。

 

はーーーっ!!!待って!いや嘘ですよね!!!???じゃあ私も言っていいですか!!??いやーーっでもな、振られたらこれは気まずくなるしこうやって遊べないしやだ言わないです私は絶対言いませんから!!!

すきだよ、

 

アーーーーッ!!!???うそ!!!うそですよね!!!えっじゃあ私も言っていいですか、あの、えっと、私(泣きながら)、先輩が、もうなんか、めっちゃ、えっと、先輩が、だ、大好きで〜〜〜〜〜〜(号泣)

あ〜〜〜〜〜〜嘘ですよね、じゃあなんですか?付き合ってくれるんですか?

うん。

 

アーーーーッ!!??(気絶寸前)待って待って、彼氏になってくれる?

うん。

 

アーーーーッ!?!!???本当に!?嘘ですよね!!??えーーっ信じられない!!どうしよう、今幸せで本当に死んでもいい!

目の前に海あるよ、どうぞ笑

やだやだ!死にたくないです!!!(どっちだよ)

 

いつのまにかめちゃくちゃ髪の毛撫でられてて、いや、サラサラじゃなくてすみませんとか、重たい女ですいません、いやもう不安でして、ええ、とか言ってた。ほぼ独り言。普通少女漫画とかならモノローグで言ってることを、私は吹き出しで全部言った。しかもトゲトゲの吹き出し。多分フォントも太文字でデカイ。お陰でいつのまにか周りにいた人たち皆無になってた。ほんと許してほしい。

 

前のブログに書いたような質問をなげかけた。なんで前に私に、同期とか勧めたりしたんですかとか。ノリで、とか言ってきた。ノるな降りろ。

可愛いから自信もっていいのに、とか言ってくるし、私何もかも初めてなんですよ、こうやって手繋いだりとか、撫でられるとかも、なんて言ったら、じゃあ色んな初めてを経験させてあげられるね、とかサラッと言うので、いやーセリフのチョイス!!??なんやそれ!!??なんでそんなのサラッと言うの!?言えるの!?やっぱ慣れてるんすよね!!??とか騒いで。

 

いつから好きかって聞いたら、研修中かなって。面白いなあと思ったし、意外としっかりした考え方してるなって思ってたって。

なんで誘ってくれなかったのか、私は1人でネットやらを漁って脈なしだって泣いたりして、昨日も母親に泣いて電話したもん、って聞いたら、飲み会誘ったじゃん笑、先輩からいくのもなかなか考えるんだよ、先輩だから行かないとと思わせるのもなとか。

 

同期の女の人とはこんなことしてない?他の人とも?

しないしない笑 社内だよ?そんなのヤバイやつでしょ笑

 

私が先輩のことすきって確信したのいつですか?わかってましたよね?

んー、そうかもな?って思ったのは結構前だけど、確信したのは今回誘われたときだよ。

(もっと前から確信したかと思ってたので意外)

 

ええええ本当にいいんですか、信じていいんですか!!!めっちゃ幸せですけど信じられない〜〜!!!とか抜かしてたら、先輩がまあそうです、キスですね、してきたわけで。

はーーー!ファーストキスが海辺って漫画!?ドラマ!?やっぱり私は主人公!!!???

 

 

と、まあイチャイチャっつーより就活の面接なみの怒涛の質問コーナーで主にワーワーしてたら犬きた。しかも2匹。

いや空気読んでくれ!?!!???マジ!頼むわ!!!!しかも1匹めっちゃ寄ってくるし!?!!???私は犬とか得意ちゃうし!!!!ていうかなんも見えんし!!!犬種なんや!!!???

先輩、人懐っこいですね〜〜とか飼い主に話しかけてる!!!コラ!!!ドキドキしとったの私だけか!!!

先輩、何歳ですか?と質問。いやいやそういう世間話も得意なタイプ!?えっすき〜〜!!!(知らんわ)

飼い主、1歳です〜双子なんですよね!とかウキウキと犬自慢。

知らん!!!にとるのか似てないのかもなんも見えん!!!とりあえず双子なんですねー元気がいい!!!とだけ答えておいた。

 

 

んだよ!!!結局行き着く先はコメディードラマじゃね〜〜か!!!

 

 

とまあ、本当メンタルやられまくりましたけど、無事なんとか?付き合えることになったっぽいので、これから頑張りたいと思います。

 

何私は書いてんだろうなあ、こんなの先輩にバレたらはっ倒されそう。

本当に平成最後の夏、ありがとう!!!!!!

 

3

5年前、大好きな人がいた。

多分あれが、いわゆる初恋だったのだろう。

 

何度も皆には話した記憶がある、文章にも書いたりして、何だか自意識を爆発させていた記憶が。

 

でも結局は、ただただ1人で舞い上がるという、恋に恋していた状態だった。

だって、もしうまくいったとして付き合った後どうするか、とかなーんも考えてなかったからね。

ま、片思いで終わって1人で勝手に失恋して(卒業後相手に彼女ができていた)終わったんですけど。

 

 

それから、恋愛に関する縁は全くもって姿を消した。峠野恋愛失踪事件である。

 

私は捜索願を出した。

だって大学には夢のキャンパスライフが待っていて、薔薇色の人生が待ってるって誰かが言ってた。

そこに私の恋愛があるのだと、信じてやまなかった。

しかし、どこにもそんなものは存在しなかった。

峠野恋愛失踪事件、迷宮入りである。

 

 

私は見つかりもしない恋愛を、夢を、希望を、命からがらずっと探し続けた。

私の周囲には、キラキラと輝くそれを手にした人がたくさんいた。

羨ましかった。

妬ましかった。

死にたくもなった。

 

そうして私は、暗中模索しているうちに、自分の中にあったはずの大切なものを反対に失っていった。

自分に対する自信が、するすると私の手からこぼれ落ちていく。

そのかわり、これ以上育ってはいけない自意識が、プライドがむくむくと大きくなっていく。

 

そうしてそこにいた私は、本来持っていたはずの魅力さえも失った、目も当てられない女と化していた。

 

 

諦めた。

あー、無理やな〜〜私には無理なんだわ、捜索願を出したとて、そもそも存在しないものを見つけることなんてたとえどれだけ優れた名探偵でも無理な話。

私は何をしていたのだろう。

私は、このままきっと、愛なんてものを知ることなく1人で死んでいくのだろうなあ、悲しき人生よ、と本気で考えた。

 

でも、何となくこのまま死ぬのは嫌で、いや、1人で死ぬとしてもそれ相応に、女として生まれて、捨てようとしても捨てられなかった女性性を抱き続けるならば、いっそ輝いて死にたい、と。

別に恋愛が全てじゃない、私1人の力でも輝けるのなら、それでいいじゃないか。

 

そこから、自分を少しずつ好きになる努力をした。

 

外見も、中身も、少しずつではあるけど肯定するように努めた。

ちょうどその頃社会人になって、努力する自分が意外とかっこいいことに気がついて、ますます失ってしまった自信を取り戻すよう、前向きになることができた。

 

 

そして、そんな時に出会ったのが、件の先輩だった。

最初はただの指導員だった。

なんかそっけなくて、私とは反対に表情も乏しそうで、冷たいなあ〜〜とか思って。

 

そうそう、私は今まで、(恋愛以外で)出来ない人扱いをされたことがあまりなく、情けないことに社会人になって初めて自分が優秀なのではなく、ポンコツなんだと知ったのだけれど。

 

そんなポンコツな自分を認め始めたときに、要領よく仕事をこなす先輩は、正直言って羨ましかった。こんなポンコツな私がアホみたいな質問をしても、(面倒そうな素振りを見せても)丁寧にわかりやすく教えてくれるのは、正直言って嬉しかった。

 

研修中は、本当にそれだけ。

先輩はあくまでも尊敬の対象。

恋愛感情なんてこれっぽっちもなくて、強いて言うなら「推し」。オタク特有の感情を抱いただけ。

 

 

ただ、あれだけそっけなかった先輩が、雪解けのごとく私に笑顔を見せてくれるようになって、私をほどよくいじってくれるようになったのは、単純に自分の存在が認められた気がして半端なく嬉しかったけど。

 

 

研修が終わる頃、なんだか自分の気持ちに違和感があることに気がついた。

嫌な予感がした。

この違和感の正体に気がついたら、私はまた後悔するぞと、第六感が叫んでいた。

だから、蓋をした。

もう傷つきたくなくて。

あの5年前のトラウマを、といっても今思うとなんもしてないんだけど、また味わうなんて死んでも嫌で。

気がつかないふりをした。

 

 

でも、金庫が「ここに財産がある」ことを暗に示すのと同じで、蓋をしたらそこに大切な何かがあることは明白で、気にならないわけがなかった!私は愚かだ!なぜそんな簡単なことに気がつかない!!

 

 

ということであっという間に(?)それが五年ぶりに抱いたあの恐怖の感情なのだと自覚してしまった。

 

 

自覚してからは最後、あの時の私が、あの時から何も成長していない私が、私の身体を蝕んでいく。

 

オメーは23歳なんだわ!18歳じゃないんだわ!それはもう通用しないんだわ!

という状況に何度も陥る。

先輩の言動に一喜一憂する。脊髄反射もいいところ。反射神経がアスリート並み。オリンピック出場も夢じゃない。

 

本当に変わってないな、と落ち込んだ。

 

 

でも、そうじゃなかった。

私はあの時から確実に変わっていた。

1人の中で勝手に思い込んで解決させていた恋愛を、ようやく外に向けることができるようになった。

ちゃんと言動で、相手に向き合うことができるようになっていた。

恋に恋する状態からは卒業できていた。

何が原因かはようわからん。加齢か?知らんけど、私は以前の私じゃ想像もできないくらいに、先輩に好きだと伝えられるようになっていた。

 

え〜〜こんなにピュアピュアな23歳、そうそういないのではないか?

 

 

でもとにかく、片思いで今回も終了するのだろうと、悲観的に考えていた。

きっとただの後輩にしか思ってなくて、私の反応が面白いから一緒に過ごしてくれてるだけなんだろうなって。

はーーーすげーーーおちこむやん、元気出せ。

 

 

 

そして、迎えた2018年9月23日、私の人生は大きく変わった。

この異常気象やら偉人のご逝去やらが立て続けに起こる平成最後という状況が私にパワーを与えてくれたのか、あるいはパワーに満ち溢れた私がその一因なのか、因果関係は明白ではないが(どっちでもねえよ)、あれだけ恋愛、まして付き合うだなんて無縁だと思っていた私が、先輩と付き合えるようになった。

 

 

幸せで死んでもいい。不安で仕方ない。信じられない。好きで好きでどうしたらいいのかわからない。本当に私が彼女だと思ってくれるのか。女性と2人で飲みにいくときは事前に言って欲しい。他の人とはこんなことしてない?したこともない?風俗とか、マッチングアプリとかやってない?他にも女の子とかいたりしない?もう不安で仕方ない。私を本当に選んでくれたのか?私は信じていいのか?私は本当にきっと言葉では表せないくらい先輩が大好き。本当に今まで味わったことのないくらいの感情で、わけがわからない。どうして私を好きになってくれたの?いつから?女の子って言葉にしてくれなきゃわかんないんですよ。重たくてごめんなさい。ネットで調べたり、友達に相談したりしてる中で、1人でめちゃくちゃ泣いたりしたんです。昨日なんて、母親に泣きながら電話したんです。きっと私のことなんて、そんな風に思ってくれない。手を繋いでくれたのも、きっとそんな感情ないんだ。また私は傷つく羽目になるのか、って。友達に彼氏ができたって、母親に彼氏ができたって報告していいですか?私ね、先輩のこと大好きなんです。今日しか言わないかもしれないからいっぱい言っときますね。内定者に可愛い子がいてもなびかないでくださいね。幸せで今本当にしんでもいい…

 

 

と、怒涛に先輩の相槌を待ちながら質問と感情をそのままぶつけた。

 

何だか本当に重たい女で嫌になってくるけど、取りこぼしたまままだ取り戻せていない自信を、少しずつでいいから取り戻せていけたらなと思う。

 

きっとこれからも悩むけど。

私は思ったら素直に言ってしまおうと思います、

 

ええー自意識過剰な飲み会を開こうと思いましたが、きっと皆を目の前にしたら恥ずかしくて何も言えないと思うので、やっぱ文章にしておいておきます。恥ずかしくなって消すかもしれんけど。

 

普通に飲むのは大歓迎なので、また皆でワイワイ騒ぎましょうね。